【ごまの原料事情を聞く】中国の輸入実績が過去最高、生産量は減少見込み、穀物相場上昇や民族紛争などの影響で/伊藤忠食糧ゴマ部ゴマ課・萩原遼氏インタビュー

伊藤忠食糧 食料第二本部製菓原料 ゴマ部ゴマ課 萩原遼氏
世界のごま需要は堅調に推移している。最大の輸入国である中国の21年実績は117万tと過去最高を更新した。

一方、日本は20年20万4,864t(平均16万t前後)の反動で、21年は15万975tにとどまった。供給面では、世界のごま生産量は594万tとマイナークロップであり、天候要因や政情不安などの影響を受けやすい。今季は、穀物相場上昇に伴うごまからの転作や、エチオピアの民族紛争やミャンマー、スーダンのクーデターの影響により生産量の減少が見込まれ、不安定さを増している。伊藤忠食糧の萩原遼氏(写真)に当面の見通しを聞いた。

日本の顧客は、5月末から収穫期を迎えた東アフリカ(タンザニア、モザンビーク)をターゲットに動いている。パラグアイ、グアテマラなど中南米の価格が大きく高騰したことから、東アフリカも当初はやや高止まりで推移していたが、ロックダウンの影響で中国の買い付けが少なくなり、港湾在庫が増えたため、弱含みで推移した。しかし、収穫が始まるタイミングで中国の買い付け回復が懸念され、価格は上昇傾向にある。

中国の港湾在庫は5月9日付けで37.3万tあった。例年、4~6月は西アフリカの入港が重なるため増加する傾向だが、今年は出庫量減もあり、歴史的な在庫量となった。その後反転し、5月31日付けで33.8万t、直近の6月27日付けで31.5万tとなった。

東アフリカの見通しは、タンザニアは播種時期の雨の遅れや他作物への転作により、生産量は12万t前後(昨年は約13万t前後)を見込む。モザンビークは、播種時期の雨の遅れとその後の天候要因で、収穫は例年より1カ月遅れている様子だ。モザンビーク中央部は生育順調の様子だが、北部でのサイクロンや他作物への転作などもあるため、例年通りまたは微減と予想する。各シッパーの生産量見込みは約8~9万t(昨年は約9万t)。

〈複数産地へのリスクヘッジ必須に、搾油ごま相場は上昇の見通し〉
ごまを扱う上で最も懸念しているのは、カントリーリスクだ。黒ごまの主産地であるミャンマーでは、クーデターの影響で農民が避難している状況だ。モンスーンクロップの減少が懸念される。

白ごま主産地の一つであるエチオピアも、民族紛争が依然として続き、ごまの作付け、収穫への影響が懸念される。

メーカーにとっては、各社の主産地(国)に加えて、複数産地(国)へのリスクヘッジが必須になっている。主産地の代替をすぐに見つけるのは難しく、新たな産地にトライするなど、リスクヘッジすることを商社として呼び掛けている。例えば黒ごまは、ミャンマーが主産地で、中南米のパラグアイ、ボリビア、メキシコも有数の産地だ。ただし生産量が限定的なため、産地に働きかけをしないと減ってしまう。品質確保はもちろん、しっかりと現地に働きかけることが商社としての機能である。

相場の見通しは、搾油ごまは現状1,550~1,580ドルで、今後は上昇の見通し。食品ごまは現状モザンビークは1,900ドルと高止まりしている。中南米のオファー価格が高く、日本の顧客が中南米を押さえられなかった分、モザンビークの対日向けが相当成約した様子である。今後は、実際の生産量と、中国の動向が注視される。収穫は7月中旬までに完了するイメージだ。相場に大きく影響するので注視したい。

〈大豆油糧日報2022年7月7日付〉