物価高でビジネスマンの昼食欠食も増加!?給食事業者ら、小泉進次郎議員に食事補助の負担上限緩和求める

「食事補助上限枠緩和を促進する会」の皆さんと小泉議員(左から3人目)
「食事補助上限枠緩和を促進する会」の皆さんと小泉議員(左から3人目)

従業員に対し食事補助の福利厚生を提供する中小企業や大手外食、社員食堂等を受託運営する給食事業者が集う「食事補助上限枠緩和を促進する会」は5月20日、衆議院第二議員会館にて、小泉進次郎議員や古川康議員ら国会議員に対し、要望書を提出した。1139の企業・団体、個人事業主の声として、物価高における企業の従業員に対する食事補助の負担上限を3,500円から6,000円以上に引き上げるよう求めた。

食事補助制度は、企業が従業員の食事代の一部を負担する福利厚生制度のひとつ。食事補助は一定条件を満たせば所得税がかからない取扱いとなっており、企業と従業員双方にメリットがある。ここ数年、実質的な従業員の手取り増加につながる「第3の賃上げ」の一つとして、非課税での食事補助の導入ケースが増えている。しかしその一方で、非課税上限の月額3,500円という基準額は1984年以降、40年以上にわたり据え置かれたまま。その間の物価上昇が反映されていない。

社員食堂などの運営を受託する給食事業者が集まる公益社団法人日本給食サービス協会の西脇司 直前会長(相談役理事)は、「企業から従業員への食事補助の支給は、サラリーマンの皆さんに喜ばれる福利厚生の施策だ。今回の1000社を超える賛同企業の多くは中小企業であり、この負担上限が引き上げられれば、食事補助額を増やしたい企業にとって、食事補助による賃上げが人材確保に役立つという声も聞いている。

また、食事補助は必ず支出に回るので、飲食業界からも賛同の声がある」とメリットを説明。
そのうえで、「こうした労働者、中小企業、飲食店に向けて、食事補助に関わる所得税非課税上限の引き上げを実現してほしい。また、その際には、物価高の中で国民は特に食費を節約しているという現実を反映した、十分な規模の引き上げを政府に働きかけてほしい」と求めた。

同会の幹事を務めるエデンレッドジャパンの天野総太郎代表は「物価高騰が続いているが、特に食料品の値上がりが厳しい。最近では、ランチを欠食する人も増えている。その一方で40年間も食事補助非課税枠が据え置かれたままになっており、ぜひ建設的に議論を重ねていただき、ご検討をお願いしたい」と語った。

同社が全国20~50代の一般社員に対して行ったアンケート調査によると、ランチ欠食率は2022年の23.7%から、2023年は25.3%、2024年は26.7%と、増加傾向にある。24年の欠食頻度は、週2~3回と答えた人が30%、週4~5回が9.4%、週6~7回が10.6%となった。

自民党内では現在、『物価上昇に合わせた公的制度の点検・見直しプロジェクトチーム』が発足し、物価上昇に対応できていない公的ルールの総点検を政府に求める議論が活発に行われている。


その座長を務める小泉進次郎議員は、「プロジェクトチームで、党内の多くの議員の賛同を得たのがこの食事補助制度の見直しだ。40年据え置かれ、物価高も反映されないまま放置されてしまったのは政治の責任でもある。この上限の引き上げを必ず骨太に反映し、予算確保を実現させる。ランチを食べられない方が増えないよう、この問題にピンポイントでしっかり取り組んでいく」と語った。

なお、フランスやイタリアなど諸外国では物価高に合わせ年々改定されており、日本の約4倍となる月額約13,500円まで増額している。日本では、食料の消費者物価指数(CPI)が40年間で約56%上昇しており、実質賃金は約13%低下するなど、家計悪化に歯止めがかからない状態であるにも関わらず、非課税限度額の見直しは行われていなかった。


食事補助額の拡大は、物価高対策や賃上げ施策の補完策としての貢献が期待されるほか、外食産業の底上げや働く人たちに適切な昼食行動を促すだけでなく、税収アップなど経済効果も期待される。

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