キリンビール、同社史上“最もビールに近い味のノンアル”「キリン本格醸造ノンアルコール ラガーゼロ」発売、初の脱アル製法で商品化

キリンビール 木村マネージャー、田山マスターブリュワー
キリンビール 木村マネージャー、田山マスターブリュワー

キリンビールは、ノンアルコール・ビールテイスト飲料の新ブランド「キリン本格醸造ノンアルコール ラガーゼロ」(350・缶)を9月30日に全国で発売した。同社史上「最もビールに近い味のノンアルコール」とする。

店頭価格は「グリーンズフリー」より少し高めの181円前後(税込)となる見込み。25年9~12月の販売目標は約50万ケース(大瓶換算)。「ノンアルコール・ビールテイスト飲料を“事情がある時に仕方なく飲むもの”から“生活を豊かにしてくれるもの”へと転換する」(同社)。

キリンビール「キリン本格醸造ノンアルコール ラガーゼロ」
キリンビール「キリン本格醸造ノンアルコール ラガーゼロ」

〈同社のノンアル史上最大の設備投資で4年かけて開発〉

キリンビールは発表会を9月19日に開催し、マーケティング部カテゴリー戦略担当カテゴリーマネージャーの木村正一氏と、マスターブリュワーの田山智広氏が登壇した。

木村氏はノンアルコールビール市場について「21年のコロナ特需後、やや数量を落とすも、直近大きく伸長し、17年比16%増の市場となっている。増加理由は“過去飲んだ時よりおいしくなっている”“新商品が出たから”が伸長している」と分析した。今後の市場の見立てについて「ノンアルビールを月1回以上、日常的に飲む方は約250万人。一方で、日常的に飲まない方は約20倍の5100万人存在しており、このライト・ノンユーザーを獲得していくことが市場拡大の機会と考える」とした。

ノンアルビールのニーズについて「本格ビールらしさ、爽やかリフレッシュ、健康機能、その他何でもよい―の4つのセグメントに分けられる。前2者に市場拡大のポテンシャルがあり、本格ビールらしさに今回のラガーゼロ、爽やかリフレッシュにグリーンズフリーのポートフォリオを揃える」とした。

発売時から複層的にコミュニケーションを展開する。テレビCM、店頭、デジタル広告、PR・飲用体験、SNS発信、交通広告(JR東日本・西日本)で展開。流通企業からはすでに市場活性化やビールに近い味わいへの期待の声が多いという。

続いて、田山マスターブリュワーは製法について紹介し「ノンアルビールテイストの製法は主に2つある。アルコールを生成せず、その他独自の多種多様な手法で味覚を調整し、ビールと似た味をつくる製法である“調合”と、アルコールを生成し、ビールを造ってからアルコールを抜く製法の“脱アルコール”だ。前者がグリーンズフリー、零ICHI、カラダFREEになる。今回、初めて脱アルコール製法のラガービールテイスト製法を採用した。日本で最も愛されるラガービール(下面発酵)の製法を継承し、技術力でアルコール0・00%を実現した。キリンのノンアル史上、最大の設備投資額と、4年の歳月をかけて実現した」と述べた。

加えて「調合は、コクを作るのは結構得意。しかし、キレはなかなか難しい。キレは発酵という生命活動、さらに熟成で初めて出てくる。やはり本格的なビールテイストにするには脱アルコール製法が有利だ。一方で、この製法は非常にハードルが高い。脱アルコールの蒸留の過程で、取り除きたいエタノールに似たおいしさ成分まで取り除いてしまう。だからベースのビールをどうつくるかということと、やはり最終的な味を整える作業が大変難しい」と語った。

〈食品産業新聞 2025年9月29日付〉

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