【トップインタビュー】おとうふ工房いしかわ・石川伸代表取締役社長/市場は充填小分け豆腐へのシフトで単価が実質下落、今後の施策を聞く

〈豆腐市場の動向を分析、カット豆腐から小分け豆腐へのシフトでgあたりの単価は下落〉
――豆腐市場の動向は
「豆腐バー」や相模屋食料の「ビヨンドとうふ」のような、色物商品が収益を取っている。当社も、最も売れ行きが良いのが豆腐ドーナツだ。白物は売れてないことはないが、高級志向が薄く、絹は頭打ち感がある。
また、カット豆腐から充填小分け豆腐へシフトがみられる。内容量を考えれば、実質的にgあたりの単価は下落している。一見、単価は上がっているように見えるが、ディスカウントの流れは意識しないとならない。高価格帯の豆腐は、消費者の節約志向が高い中で、こだわる人が少ない。時代の変化にどう適合させるかが課題だ。
――貴社(2月期)の販売動向は
直近7月までの実績は横ばいで、高価格帯の豆腐は頭打ちだ。豆腐ドーナツやミルク寒天、「野菜生揚げ」が好調だ。
常温タイプの豆腐ドーナツは、賞味期限が60日間とロングライフのため、航空会社の機内販売に採用された。卵と乳不使用のチルドタイプも好調だ。ドーナツはおやつに気楽に食べられるということもあり、秋以降も堅調だと思う。昨年、1ライン増設したが、さらなる追加も検討している。
〈うどんのトッピングに餅入り巾着を新提案、国産大豆の需要拡大を目的に開発〉
――秋冬に向けた新商品は
「きつね力うどん 味付もち巾着」を新発売する。国産大豆100%の油揚げを甘辛く味付けし、餅を入れた。ベトナムで製造している。日本の国産大豆をベトナムに輸出し、油揚げを作っている。セミレトルト処理を行うことで30日間日持ちする。非常に評価が高い商品だ。うどんの上に餅入り巾着をトッピングする新しい食べ方を提案する。

同商品を開発したのは、国産大豆の需要拡大が目的だ。国産大豆の安定供給に向けて、農水省がストックセンターの整備を支援し、保管数量も令和12年には2万5,500tまで拡大することをKPIに設定していることを受けたものだ。
また、ラインを刷新した丸カップ商品に注力したい。「寄せとうふ生湯葉」、「寄せとうふ山芋」では、既存品に加え、たれ添付なしで包装を簡易的にすることで値段を抑えたタイプを追加する。
――今後の施策は
豆腐の適正価格での販売を改めて設計したい。併せて、豆腐の美味しさを再追求していく。若年層や子どもが本当に食べたい豆腐とは何かを追求し、大人が食べても美味しい豆腐の発売を、来年春に向けて動く。
〈大豆油糧日報 2025年10月6日付〉