【日本の輸入豚肉市場でカナダ産がシェア1位に】カナダポークがメディアカンファレンス開催、貿易関係のさらなる強化めざす

カナダポークは9月26日、東京都港区の在日カナダ大使館でメディアカンファレンスを開いた。カナダポークのハンス・クリステンセン会長をはじめ、カナダ養豚・生産者団体らの来日に合わせて開催されたもの。当日は外食や小売など業界紙のメディアに対し、カナダポークの概要やカナダ産豚肉の輸出状況などが説明されたほか、カナダ生産者らに向け、日本でカナダ産豚肉を取り扱う大手食肉企業から日本市場におけるカナダ産豚肉の位置付けや評価などについてプレゼンが行われた。
〈日本の輸入豚肉市場においてカナダ産がシェア1位に〉
冒頭、カナダ大使館農務部のアレックス・チェン参事官が「日本とカナダとの長年にわたる協力関係のもと、昨年カナダは日本にとって最大の豚肉供給国となった。世界の不確実性が増すなかで、カナダは高品質で信頼性の高い供給国であり続けることを約束する」と、カナダが日本の輸入豚肉市場においてシェア1位となったことを報告した。
続いて、カナダポークのクリステンセン会長は「今回は、カナダと日本の貿易関係を強化するために訪日した。視察にはカナダ全土から生産者が参加しており、日本の業界の皆様との交流を図ることを目的にしている」とあいさつした。
〈日本のカナダからの豚肉輸入額は約1,600億円(15億ドル)〉
プレゼンでは、カナダポークのホワイトCEOが最新の豚肉輸出動向を説明した。それによると、2024年度のカナダの豚肉輸出額は約55億カナダドル(約5,800億円)に上り、このうち日本向けは15億ドル(約1,600億円)と、米国の18億ドル(約1,900億円)に次いで第2位の市場となった。
ホワイト氏は「米国の関税問題など不安定な状況にあるなか、この先、米国向けが若干減少し、日本向けは伸長していくとみられる」と説明した。

カナダの豚肉生産量における輸出比率は68%に達しており、「カナダの豚肉産業は、世界でトップクラスの製品を生産することに全力で取り組んでいる。カナダ大使館にカナダ食品検査庁の職員を常駐させており、これは他国をみても非常にめずらしい取組みだ」としたうえで、「日本はカナダにとって輸出額・輸出数量ともに第2位の重要なパートナーであり、2024年度の日本の輸入豚肉市場において、カナダ産がシェア1位を獲得した。とくに日本のカナダ産チルド豚肉の輸入量の推移をみると、2010年から229%と驚異的に伸びており、日本がカナダの豚肉産業にとっていかに重要かを示している。これをさらに成長させるべく、関係性を強化していきたい」と強調した。
カナダ豚肉協議会のロイ会長は生産者の取組みについて説明。「カナダポーク・エクセレンス」(CPE)について紹介した。これは豚肉生産者が主体となって作り上げた全国的なプログラムで、3つの基準に基づき、高品質な豚肉の生産や食品安全、動物福祉、トレーサビリティの分野において最高水準を維持している。ロイ氏は「カナダ産豚肉は付加価値が高く、市場のニーズに適した生産体制を構築し、品質を重視している。そして政治的にも安定した国として、日本との長年にわたる関係性に重きを置いている」と述べた。

〈カナダポークはアジア市場へ注力〉
質疑応答では、カナダ産豚肉がトップシェアになった要因について聞かれ、クリステンセン会長は「これはカナダと日本の長年にわたる関係性の賜物だ。カナダでは、過去にも労働ストライキや港湾の混乱、自然災害などさまざまな困難に直面してきた。しかし、これらの困難を乗り越え、日本と築き上げた関係性に深く感謝している」と改めて2国間の信頼関係を強調した。
また、米国の関税問題の影響については、「米国市場の不確実性が世界中に影響を与えるなか、カナダは米国に多くの豚肉を輸出しているだけでなく、米国からも豚肉を輸入している。こうしたなかカナダ国内においては、とくに米国からの輸入品に対してカナダ産を購入するという意識が高まっている。一方で、従来から輸出先の多様化を図ってきたが、今回の関税問題はその取組みをより加速化させている。我われは市場の多様化、とくに日本をはじめとするアジア市場への注力を継続していく」と述べた。
〈畜産日報 2025年10月6日付〉