新「爽健美茶」、あえて40~50代をターゲットに、無糖茶の選択肢拡大をふまえて刷新 日本コカ・コーラ

◆「爽・健・美」の原点を見直す
コカ・コーラシステムのロングセラーブランド「爽健美茶」が、9月8日に全国でリニューアル発売された。今回のテーマは「BeauteaBlend(ビューティーブレンド)」。
中味は、ハトムギをはじめ、12種類の植物素材をブレンドし、同社は“内側から潤う”という価値観に合わせた設計だと説明する。ノンカフェイン設計はそのままに、新素材として「とうもろこしのひげ」を採用。味わいはすっきりと飲みやすく、ほんのり香ばしさが感じられる仕上がりにした。
今回のリニューアルでは、コアターゲットを20~30代から40~50代へシフトした。
発売当初に爽健美茶を飲んでいた世代に、もう一度ブランドの魅力を実感してもらう狙いとしている。
無糖茶やブレンド茶の競争が強まる中で、なぜ、あえてこの世代に照準を合わせたのか。日本コカ・コーラ社マーケティング本部トータルティー事業本部の阿部舞シニアブランドマネージャーに話を聞いた。

――「爽健美茶」を9月にリニューアルされました。その背景を教えてください。
「爽健美茶」は長年にわたりご愛飲いただいてきたロングセラーブランドです。知らない人がほとんどいないほど生活に根付いていますが、最近はお茶の選択肢が多様化しています。そのなかで改めて“爽健美茶とはこういうお茶です”と伝え、ブランドの存在感を再確認していただきたいという思いから、リニューアルに踏み切りました。
――ブランド名の由来にも改めて注目したと聞きました。
はい。社内でも改めて振り返る機会がありました。「爽」はリフレッシュ、「健」はヘルシー、「美」はビューティー。この3つの価値を届けるブランドです。海外のグループ会社のメンバーが日本に来た時にブランドの説明をしたところ、感銘を受けていました。人類共通の願いを体現したブランド名だと思います。
――今回のリニューアルのポイントを教えてください。
テーマは「BeauteaBlend(ビューティーブレンド)」です。12種類の素材をブレンドし、“内側から潤う”をキーワードに据えた設計です。これまでも「爽やかに、健やかに、美しく」を大切にしてきましたが、今回は特に“美しく”の部分を強調しています。
――パッケージも大きく変わりましたね。
そうですね。デザイン面でも「変わった」とすぐわかることを重視しました。新デザインでは“うるおい玉”と呼んでいる水滴のモチーフを採用し、その中にさまざまな素材を描き込んでいます。ブランドカラーのグリーンを生かしながら、“内側から潤う”というコンセプトを視覚的に表現しました。
――中味の変更点は?
新たに「とうもろこしのひげ」を加えた12素材のブレンドです。従来のハトムギをベースにしつつ、美容イメージのある素材を加えることで新鮮さを出しました。これまでのおいしさはそのままに、とうもろこしの香ばしさがほのかに香る、すっきりしたお茶に仕上げています。
――ノンカフェイン飲料の市場は商品提案が活発化しています。
そうですね。いまはルイボスや麦茶など選択肢が増えています。その中で「爽健美茶」の強みは、多様な素材をブレンドしている点です。ブレンドだからこそ生まれる健康感やおいしさを届けたいと考えています。
◆発売当初のインパクトを知る世代にもう一度実感してほしい
――ターゲットはどの層を想定していますか。
2年前のリニューアルでは20~30代を中心にしていましたが、今回は40~50代をコアターゲットに設定しています。発売当初(1994年全国発売)のインパクトを知っている世代に、もう一度ブランドの良さを実感してほしいと考えました。実際、美容意識の調査では40代を境に“外側のケアよりも内側から整えること”を重視する傾向が強まります。まさに「爽健美茶」の考え方と一致しています。
――リニューアルの方向性が世代の価値観と重なっているということですね。
はい。若い世代には新しい無糖茶が次々に登場していますが、「爽健美茶」が30年以上前から築いた“ブレンド茶”というカテゴリーの価値は、実は今こそ見直されていると思います。年齢を重ねても自分らしく過ごしたい、そのために「健やかさ」や「内側の美しさ」を求める人たちに寄り添いたい。今回の刷新はその想いを形にしたものです。
――担当者として、どんな気持ちで今回のプロジェクトに臨まれましたか。
「爽健美茶をもう一度“私のお茶”と感じてもらえる存在にしたい」という気持ちが原点でした。
長く続いてきたブランドだからこそ、変えすぎてもいけないし、守りすぎてもいけない。そのバランスを取るのが難しかったですが、商品もデザインも、スタッフ全員が「今の時代に合う爽健美茶」を追い求めました。
◆“うるおい玉”に込めたメッセージ
――パッケージの刷新について詳しく教えてください。
デザインには非常に時間をかけました。特に、“うるおい玉”のモチーフは何度も議論を重ねて決めたものです。「爽健美茶」の中にある「爽・健・美」の3つの要素を一滴の水に込め、その中に自然の恵みである素材を浮かべる。これによって、“内側から潤う”というコンセプトを見てすぐに感じてもらえるデザインになったと思います。
今回のリニューアルでは、長年親しまれてきた安心感を残しつつも、手に取った瞬間に新しさを感じてもらうことを意識しました。「爽健美茶」が長く続いてきた理由のひとつは、時代に合わせて進化し続けてきたからです。今回はその進化の一歩として、見た目の印象も一新しました。
◆生活に寄り添う“ちょうどいいお茶”を
ーー製品ラインアップについて。
300ml/440ml〈加温〉/600ml/1.25L/2Lサイズのペットボトルを展開しています。
1.25Lサイズは、この春から導入した新サイズです。600mlでは少し足りない、でも2Lは多すぎるという声に応えた容量で、スーパーやドラッグストアを中心に展開しています。単身層からファミリーまで幅広いニーズに対応できる“ちょうどいい”サイズ感だと好評です。
――ホット製品は、「爽健美温茶」から「爽健美茶」に変更されました。
はい。今年からホットも「爽健美茶」ブランドとして統一しました。従来の「爽健美温茶」シリーズから刷新し、同じ12素材のBeauteaBlendを採用しています。季節を問わず楽しめるラインアップにすることで、“爽健美茶らしさ”をより多くの場面で感じていただけるようにしました。
◆“やっぱり爽健美茶だね”と言ってもらえる存在に
――最後に、読者へメッセージをお願いします。
「爽健美茶」は、身近なお茶でありながら、実は“私のお茶”と言える存在になってほしいと思っています。多様化するお茶市場の中で、もう一度手に取って“やっぱり爽健美茶だね”と感じていただけたらうれしいです。“爽・健・美”の3文字に込めた想いを、これからも丁寧に届けていきます。
◆ブレンド茶市場はノンカフェインも支持され拡大傾向
無糖茶飲料市場は拡大が続く一方、緑茶・麦茶・ルイボス茶・紅茶など選択肢が広がっている。ブレンド茶は、原料を組み合わせた複合的な風味とノンカフェイン設計で独自ポジションを築き、既存ユーザーへの再訴求により、さらなる伸長を目指す。
「爽健美茶」は、今回のリニューアルでターゲットの再設定と中味・デザイン・容量を変更し、ブレンド茶カテゴリーの活性化を図る考えだ。