オイシックス、「ネクスト銘柄米」発表会/高温耐性米をPR
オイシックス・ラ・大地(株)は23日、本社で「猛暑に負けずに育つ『ネクスト銘柄米』発表会」を開催した。生産者も交えて高温耐性米の優位性を訴えた。
同社は一昨年から高温に強い高温耐性米2品種の取り扱いを開始し、昨年も7品種を販売した。今年も23日から運営する会員制宅配サービス「Oisix」で、にじのきらめき、はれわたり、あきさかり、サキホコレなど12品種を販売する。
発表会では、農研機構中日本農業研究センター(新潟県上越市)の梶亮太氏による気候変動とお米の現状についてのレクチャーのあと、生産者として秋田県から齊藤拓氏と、茨城県の大嶋農場から大嶋康司代表取締役が加わり、オイシックスの冨士聡子執行役員がファシリテーターとなってトークセッションが行われた。

梶氏によるレクチャーでは、はじめに日本の平均気温が年々上昇していること、また渇水や水害といった天候不順が多発していることが示された。高温により発生するのが、米の中に白く濁った部分が出てくる白未熟粒と呼ばれるもので、米の詰まり具合がまばらになることで見られるという。「米の検査等級の低下に伴い農家の収入が下がるほか、精米時の歩留まりが悪くなるので流通する米も減ってしまう」と梶氏は問題点を挙げ、各種の対策の中で最も抜本的なものが高温耐性品種の開発だと述べた。
高温耐性品種が主食用水稲面積に占める割合は徐々に拡大しているが、令和6年時点で15%強にとどまる。梶氏はブランド米の人気が根強いことや、種の供給量が十分ではないことが要因だと考えている。農研機構ではこれまでにじのきらめきのほか、きぬむすめ、にこまる、恋の予感といった品種を開発してきた。なかでもにじのきらめきが生産量ベースで急拡大しているという。「コシヒカリだと2等か3等に格付けされるものも、にじのきらめきだと1等となる場合があった。稲はコシヒカリに比べて倒れにくく、収穫量も同量の肥料を与えた時に1割以上多い。この数年で作付面積が増えるのではないか」と梶氏は期待を寄せた。
続くトークセッションでは、大嶋氏がにじのきらめきを採用する理由について、「これまでの品種に比べて収量が多いと思う。栽培方法も難しくなく、高温耐性もあり、病気にも強いということで、自分の農場でも扱っている。しっかりした米ですごくおいしい。実需側からの評判もいい」と話した。
サキホコレをプレデビュー時から5年にわたり作り続けている齊藤氏は、「デビュー当時は『コシヒカリを超えるぞ』と秋田県内が盛り上がった。秋田米の未来を担える品種として、何としても成功させなければならないという使命感のもとで作り始めた。手間のかかる品種ではあるが、管内の1等米比率が非常に低かった年でもサキホコレは安定した高品質の米を届けられた。初めて炊飯したときの上品な輝きと豊かな香りに感動したのを覚えている。食べると甘みが豊かで、なおかつキレもあるようなおいしさ」と実感を込めて語った。
未来の米づくりに関しての意見を求められる場面では、両者ともに後継者不足の深刻化を指摘。大嶋氏は、生産者価格が安定的に再生産できる水準で落ち着くことが重要だと指摘した。セッションの最後、梶氏は「私たちが品種を開発しても、大嶋さんや齊藤さんのような熱意ある生産者が栽培してくれないと何にもならない。今回、2人の話をきいてとても心強い。高温耐性品種はいずれも各地域で生産者には名前が知られてきているが、食べる皆さんに存在を知ってもらえると、生産者のモチベーション向上にもつながる。ぜひ高温耐性品種を知ってもらいたい」と結んだ。
〈米麦日報 2025年10月24日〉







