【厨房機器メーカー各社】外国人材に配慮した機器を給食現場に投入、動画やイラストで扱いやすく
学校給食や病院給食向け専門展示会「フードシステムソリューション」が10月15~17日の3日間、東京ビッグサイトで開催された。出展した厨房機器メーカーは、調理現場で外国人材が増えていることから、多様性に配慮した機器を展示、紹介した。
〈手洗い動画のモニターを設置/タニコー〉
タニコーは『現場が少しでも楽になってほしい』をテーマに、大量調理に関わる“ちょっとしたストレス”を解消できる機器を多数展示した。
中でも、「多人数対応型自動手指消毒器」は非接触タイプのサニタリーバー(石けん水、お湯、消毒液)でしっかり洗えて、爪ブラシやペーパータオルホルダーもセットされた機器だ。一台で、調理エリアに入る前の「標準的手洗い」がしっかりできる。
新機能を尋ねると、手洗い動画のモニターの設置があがった。
従来、給食現場では、日本語の説明文とイラストが載ったポスターを掲示し、手洗いの仕方を説明することが多かった。しかし近年、多様な国籍の人が働くようになり、日本語だけのポスターでは説明が不十分になりつつあるという。そこで同社は、手洗い器正面にモニターを設置し、文部科学省の「手洗いマニュアル」等に準拠した正しい手洗いの仕方を伝える動画を映すことができるようにした。
官需部の森下由美子課長代理は、「日本語があまり読めなくても、動画のとおり手を洗ってもらえれば、衛生的な手洗いができる。使用すればどんどんOJTになる。人手不足により十分な手洗い指導の時間がとれていない施設も増えていることから、導入を呼びかけたい」と語った。
〈イラストを加えて直感的に操作できるように/NITCHO(日本調理機)〉
日本調理機は、多彩な加熱調理に対応するスチームコンベクションオーブンを展示した。特徴は、見やすく、扱いやすい大型タッチパネルだ。視認性に優れた大型のタッチパネルを採用し、温度・時間・芯温も一目で分かるようイラストを加え、直感的に操作できるようにした。

取締役の飯島裕氏は、「外国人の方が働く施設が増えていることから、誰でも簡単に操作できるよう、見やすさ、分かりやすさを考慮し、開発した。今後は、多言語の対応も検討したい」と話した。
〈誤配膳を防ぐシステムを開発/AIHO〉
AIHOは、献立データを活用して誤配膳を防ぐトレイメイクシステムを紹介した。
病院の調理現場では、ベルトコンベアを流れるトレイに食札(食事内容が記載された札)を見ながら、料理を一品ずつセットするトレイメイクが行われる。患者は病態やアレルギーによって食事内容が異なるため、複雑で難易度が高い作業である。高齢になり、食べる力、飲み込む力が低下した人が、誤配膳により本来と違う食事をとると、大きな事故につながりかねないため、決して間違ってはいけない作業だが、ミスを完璧になくすのは難しい。
そこで、同社は、画像で食札とトレイメイク後の食事を照合する検品装置を開発した。

営業推進部長の熊谷文伸氏は「食札を見ながらチェックするのは大変な作業で、ミスを完璧になくすのは至難の業だ。ましてや、日本語が得意ではなく食札も十分読めない外国人ならなおさら難しい。そうした人でも問題なく正確な検品ができるようにした。ミス・トラブルの防止と、作業負担の軽減につなげてほしい」と語った。
昨年は協業ロボットを組み込んだシステムを展示していた同社だが、「現在の技術ではロボットを組み込んだ場合、設置スペースが広く必要となり、既存の配膳室に提案することができない。このシステムは、既存のスペースでも設置できることを考慮しており、すぐにでも提案できるシステムとなっている」という。
人材不足が叫ばれる昨今、誰でも働きやすい環境整備が進みつつある。







