【日本植物油協会】会員忘年懇親会を開催、食料安全保障の確保に貢献する必要性ますます高まる
日本植物油協会(佐藤達也会長)は12月18日、東京都千代田区の経団連会館で、12月度理事・会員集会を開催後に、会員忘年懇親会を開催した。そこで佐藤達也会長(J-オイルミルズ会長)により、「25年製油業界10大ニュース」が発表された。佐藤会長は1位、2位、3位、6位、7位を挙げた上で、「これら5項目はいずれも油糧種子、生産国、バイオ燃料政策によって、国内搾油業、特にミールの需給に直接、間接に大きな影響を及ぼしていることを示している。協会としては来年も引き続き、米国、カナダ、豪州と主要輸入先国との協議を通じて、油糧種子の生産、品質の動向や、バイオ燃料政策の動向について情報収集に努めていきたい」と力を込めた。

佐藤会長は、「バイオ燃料需要の増大に加えて、円安基調の為替相場、菜種油分の低下、物流費をはじめとしたコスト全般の高騰など、国内の植物油製造事業者の努力だけではいかんともし難い事業環境の変化」について言及した。そういった中、4位のごま、こめなどの高付加価値油の価値が拡大、10位の業務用市場で炊飯油が注目されることについて、「消費者、実需者の植物油に対する需要の変化に会員各社が適切に対応した結果である」と評価した。
5位には、「オリーブ油の市場が回復に到らず」が入ったが、「オリーブ油の国内流通量で見ると、未だ回復途上という現状だ。10大ニュースには入らなかったが、オリーブオイル公正取引協議会によるエクストラバージンオリーブ油の公正マークの表示が始まっている」ことを補足した。9位に入った油脂・物流未来推進会議がの発足について、「行政からの指導ももらいながら、流通関係者と連携しつつ問題に対応して進めたい」と語った。
この一年を振り返り、「植物油という国民生活や食品産業にとって、不可欠な物資を高い品質を維持しながら、合理的な価格で安定的に供給することによってわが国の食料安全保障の確保に貢献していく必要性は、ますます高まっていると感じる」と所感を述べた。来年に向けて、「業界を取り巻く事業環境は極めて厳しいが、各社が企業の価値を高めていけるよう、協会としても発展のために役割を果たしていきたい」と強調した。
〈業界そのものの持続性を担保、日本の宝である植物油の価値向上・需要拡大を〉
乾杯あいさつは、久野貴久副会長(日清オイリオグループ社長)が行った。「今年の世相を表す漢字は『熊』だったが、『米』が個人的にも業界的にもしっくりくる。米国による相互関税の発動やバイオディーゼルの政策変更、国内では米価の高騰、業界にとってはこめ油の伸長といったことがあり、米に象徴される一年になると思っている。来年一つ言えることは、不確実性がますます増すことが確実であるということだ。足元では、さまざまな課題に直面をしているが、安定供給を果たしていくためには、業界そのものの持続性がしっかりと担保されていなければならない。皆さんと共に邁進し、未来に向けて切磋琢磨しながら価値創造を続けていきたい」と述べた。

塚越英行副会長(昭和産業社長)は油締めの前に、「ある新聞に2025年のヒット商品番付が出ており、東の横綱は大阪・関西万博、西の横綱は映画の『国宝』ということで、25年は国内外で日本の宝が輝いた年としていた。宝の輝きに合わせて株価が史上最高値を更新、訪日外国人の数も史上最高となり、消費の世界も新たな時代と締めくくっていたが、ぜひそうあって欲しい。10大ニュースもネガティブなニュースが多かったが、足元の状況に一喜一憂せず、われわれが果たすべきことはやはり、おいしさ、機能性の高さ、安全安心、高品質、安定供給にしっかり取り組み、日本の宝である植物油の価値向上、需要拡大を皆さんと一緒に図っていきたい」と述べた。

〈大豆油糧日報2025年12月22日付〉







