【タカキベーカリー】焼成済冷凍パンは2ケタに迫る勢い、具材を挟める商材が好調【冷凍パン特集 #4】
アンデルセングループの一社、タカキベーカリーのフードビジネス事業では、焼成済冷凍パン、業務用冷凍パン生地の販売を担う。インストアベーカリー、ホテルやレストランなどといった外食を主な販路としている。
近年の冷凍パン市場の動向について、取締役執行役員営業本部の福田雅之営業企画室長は「調理現場における人手不足から、全業態で省人化・省力化のニーズが高まり、冷凍パン市場は好調に推移している」と説明する。
さらに、専門性に依存しすぎず、多様な人材が活躍できる場が広がっていることに加え、新規出店の際の設備投資を抑制する動きもあり、冷凍パンの需要は今後も高まる見込みだ。
インバウンドによる需要は、外食はやや落ち着いてきたものの、出荷量自体は増えており、底堅い動きがあるようだ。
またパンの喫食シーンが、朝食に加え、昼食や夕食にまで幅広く浸透してきていることも焼成済冷凍パンの需要増に貢献していると推測する。
そんななか、同社の焼成済冷凍パンの直近の販売状況は、省人化需要の高まりを背景に、前年比で2ケタに近い伸びと好調に推移している。主力とするインストアベーカリーとホテル・外食での引き合いもいずれも前年を上回って推移しており、特にインストアベーカリーの伸長率が高かった。
カテゴリー別では、食事パンの中でもバンズやカスクートなど、サンドイッチとして使えるような商材の引き合いが伸びているという。売上2位の「バーガーバンズ」については、前年比で3割以上の伸び率と非常に好調に推移した。外食が中心だが、バンズはスーパーの惣菜でも使用が増えているという。長物フランスパンも堅調に推移した。
商品施策では今年9月から、スライスを入れたカスクートとして「TFカスクート上スリット」、「TFカスクート横スリット」の2品を発売した。これまで発売していたスリットなしの商品は現在販売を中止しており、従来の品質はそのままに、縦と横のスリットで2種類を展開している。人手不足課題に対応する商材として、外食を中心に非常に好調に推移しており、今後も伸長が期待できるという。
今後は引き続きスライス済の商品を拡充し、省人・省力化ニーズに応える。来年度以降も上位定番商品の品質をさらに磨き、ユーザーの要望や課題に寄り添った提案を強化していく方針だ。
一方で冷凍パン生地は、グループ全体では少し苦戦している。苦戦要因について、福田室長は「冷凍生地を供給している当社のベーカリーブランド『リトルマーメイド』の店舗減に加え、市場全体で成型済み商品のニーズが高まっており、同社で構成比が高い生地玉の需要が落ちているため」と説明する。
これらをふまえたうえで、シート状の多加水生地など、使い勝手を良くした付加価値の高い商材を展開し、他社との差別化を図るねらいだ。価格優先ではなく、得意先やユーザーが、自社のメニューや売場、サービスの品質を高められるような商品展開を進めていく。
〈冷食日報 2025年12月19日付〉







