【ヤマサ醤油・釜谷明取締役営業本部長インタビュー】「鮮度生活」シリーズは比較的好調、昨年は「380周年」アピールできた

ヤマサ醤油・釜谷明取締役営業本部長
ヤマサ醤油・釜谷明取締役営業本部長

──12月期の業績見通しを

売上高は前年実績のクリアがみえており、トータルで悪い年ではなかった、何とか踏ん張れたと感じている。しかし、利益面では原価上昇に対して価格改定が必ずしも十分な水準に達しておらず、状況は引き続き厳しいと思っている。

──しょうゆ部門の状況は

家庭用は、折からの「米騒動」の影響というか、価格高騰でパスタやパンに需要が移ると、しょうゆも厳しいという印象を受けた一年だ。その中で「鮮度生活」シリーズは比較的好調を維持している。特に600mlは1LPETからのシフトがみられるなど、好調を維持している。ただ伸長していた300mlは割高感を感じるのか、これまでの成長基調から前年並みにとどまった。
また、関西・大阪万博が盛り上がりをみせたことで、関西市場を中心にハラル認証しょうゆ、グルテンフリーしょうゆへの問い合わせも多く、販売も伸びた。引き続き海外からの観光客は増えると思うので、今後も期待したい。

当社は1645年創業、昨年は380周年の年だったが、11月から1LPETの「こいくちしょうゆ」、「有機丸大豆の吟選しょうゆ」について、「380周年」ラベルを表示し、店頭展開した。当社が長い歴史を持つことをアピールすることが目的だったが、販売実績にも寄与している。特に近畿圏では、歴史のある会社を評価する傾向があり、当社をアピールすることができたと思っている。

だししょうゆの新シリーズ「香味だし醤油 醤湯(ジャンタン)」は、「海鮮だし」は評価をいただいているが、「牛だし」は調理用途訴求に課題が残った。改めて、つけ・かけ用途の訴求にも努めたい。

業務用では、前半は外食市場の好調が寄与したが、秋口以降は少しトーンダウンした感がある。外食市場はコロナ禍明けからずっと好調だったが、直近では寿司業態は落ち着き、代わってパスタ、ハンバーガーなど洋食業態が伸びてきており、しょうゆの登場シーンは減っているように感じる。その中で、外食市場でかなり浸透している、鮮度ボトルの卓上商品に一層注力している。

〈「これ!うま‼つゆ」2ケタ成長、企業ブランドのイメージ高める取り組み実施〉

──食品部門の商品群について

つゆ類では、「ぱぱっとちゃんと これ!うま‼つゆ」は、大泉洋さんを起用したテレビCMを昨秋から復活させると共に、生鮮売り場での小袋サンプリングを通じた用途訴求を改めて強化したことで、2ケタ成長に回復した。昨年12月には料理研究家のリュウジさんと、当社社員との掛け合いによる、レシピ提案動画の配信も行った。「これ!うま‼つゆ」のおいしさを認識し、使っていただくとリピートにつながると思うので、今年もアピールに努めたい。主力ブランドの3倍濃縮つゆ「昆布つゆ」は価格改定も一段落したところで価格競争の影響はあるが、固定客などの支持を受けて好調を維持している。

ストレートつゆはトップブランドとして注力しているが、「そうめん専科」、「ざるそば専科」共に非常に好調だった。9月~10月頭まで気温が高いため、量販店が秋冬への棚替えを遅らせたことや、通年採用の拡大などが寄与した。鍋つゆも前年に比べて気温低下が早く、野菜価格も安定していることから期待できる。新シリーズとしてガーリック、ショウガなど具だくさんの「素材まるごとすごい鍋」3品を展開しているが、これが好評であり、さらにグループ会社・サンジルシ醸造の「加賀屋総料理長監修糀鍋つゆ白だし仕立て」も味の評価が高く好調だ。

このほか、「昆布ぽん酢」も好調だ。価格改定を行ったが、数量が落ちていない。「万能クッキングたれYummy!」は、キャンプ用調味料として関心を集めたりしており、徐々に定着しつつある。

業務用は、「昆布水つけ麺の素」の提案に取り組み、初年としてはまずまずの成果を上げることができた。また、「三角(ミカド)クラフトコーラ」が、ゴルフ場や温浴施設でじわじわと定着している。

──26年に向けた事業展開について

まず、ヤマサ醬油の企業ブランドのイメージを高め、広めるさまざまな取り組みを行いたいと考えている。当社は、業務用市場では和食の調理人の方々に「なくてはならない」というほど支持されているが、家庭用市場ではどうなのか。
例えば、「昆布つゆ」は知られていても、ヤマサ醤油に結びついていないように思われ、一般消費者への認知は課題がある。業務用市場と家庭用市場とで、あまりにも企業認知でギャップが大きく、小売各社がPB商品にさらに注力している現状もあり、危機感を持っている。商品面では、夏場の猛暑は当分続くと予想される中で、春夏商品ではボトル商品の強みを生かしたストレートつゆのバラエティー化で強化を図っていきたい。また、つゆ類にはうま味の強いもの、色味のうすいものへの支持が高まっており、これに対応していく必要がある。今年も積極的にチャレンジしていきたい。

〈大豆油糧日報 2026年1月27日付〉

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