【工場ルポ】さとの雪の紙パックとうふ製造の様子を見学【四国化工機】

紙パックとうふの現在のラインアップ(一部)
紙パックとうふの現在のラインアップ(一部)

四国化工機は機械事業、包装資材事業、食品事業を手掛ける会社だ。牛乳パックやヨーグルト、紙パックなどの無菌充填包装機を開発設計するほか、包装資材の企画開発をしている。四国化工機の御殿場食品工場(静岡県御殿場市)と阿南食品工場(徳島県阿南市)で豆腐を製造し、さとの雪食品が販売している。

四国化工機は、「豆腐作りは、昔は職人が目で見ながら感覚で作っていた。それを当社は豆乳固形分や成分を数値で管理し、にがりの添加適量を計算して科学的に豆腐を作っている」と語る。

同社が手掛ける紙パックとうふが誕生したのは1990年だ(写真は現在のラインアップの一部)。おいしい豆腐を食卓に届けるには、作りたてを提供する必要があると考え、無菌充填技術、包装技術を追求した。空気や光を通さない特殊な紙容器を使うことで紙パックとうふが生まれた。

〈おいしい豆腐を届けることを追求した結果、常温で157日間日持ちする豆腐が誕生〉

「開発の根底にあったのは、『本当においしい豆腐をお届けしたい』というコンセプトだった。賞味期間の長さはそれを追求した結果だ」と話す。発売当時の賞味期間は要冷蔵で製造日を含む30日間だったが、現在の要冷蔵商品「四季とうふ」は240日間まで伸ばすことに成功している。常温商品「ずっとおいしい豆腐」の賞味期間は157日間。『ずっと』には「はるかにおいしい」と「長期間おいしい」という2つの意味を込めている。

紙パックとうふ発売当時は、流通側の反応が芳しくなかったという。その理由は、賞味期間が短い方が、買い物頻度が高くなると考えられてきたためだ。しかし、長い賞味期間によって、なかなか買い物に行けない人が買い置きしやすく、常温化によりECサイトでの購入も可能となった。非常食に炭水化物が多い中、「ずっとおいしい豆腐」はたん白源の1つとしてローリングストックもできる。キャンプに持っていくことも提案している。
「日持ちの長さから、さまざまなシーンで活躍する紙パックとうふだが、『おいしさ』で指名買いをして欲しい」と想いを語る。

同社は、2003年から紙パックとうふの輸出も積極的に行っている。これまでヨーロッパを中心に採用されているが、「今はアジアでの採用が多くなっている」と述べる。「輸出して最初の頃は、日本の豆腐だから購入されている印象で、アレンジして食べられることがほとんどだった。和食がユネスコ無形文化遺産に登録されてから、冷奴など、日本本来の食べ方で楽しまれつつある。日本食=健康のイメージに加え、豆腐が植物性たん白源ということもあり、海外にも支持されているのでは」と分析している。

〈安心安全にこだわり、独自の一丁作り製法を採用し味や品質を均一に〉

工場で特にこだわっているのは安心安全だ。無消泡で、人手に触れないよう製造している。トレーサビリティを導入し、出荷後も商品の追跡が可能だ。
技術面では、一丁作り製法を採用している。一般的に、豆腐は大きな型箱で作ったものをカットして一丁サイズにするが、大きな型枠内でムラができやすい。一方、同社では最初から一丁サイズで作る製法のため、味や品質にムラがない。

凝固剤は、にがり(塩化マグネシウム)を使用している。豆腐本来の甘みとうま味を楽しんでもらうためだという。
木綿とうふでは、昔ながらのしっかりとした味わいと硬さを出すため、水分をよく搾るのも特徴だ。これにより、みそ汁や麻婆豆腐などに使っても、豆腐のおいしさを感じられる。

同社は、「若年層ほど大豆の味わいがない豆腐に慣れている傾向にあるが、イベントなどで私たちの豆腐を試食サンプリングすると、豆腐嫌いな子どもが『おいしい』と言って、おかわりすることが多い」という。「豆腐は、『いつも買っているから』という理由で商品選択されがちだが、ファンがついたら離れない。地道に活動していかないと」と話す。

〈真空脱気装置で消泡剤不使用を実現、X線検査装置で異物混入を防止〉

本紙は、阿南食品工場で紙パックとうふができるまでの工程を見学した。最初に、大豆に強風を当てたりふるいにかけたりして異物を除去してから、浸漬する。生産能力は、木綿や絹、充填など計1日30万丁だ。

吸水が終わった大豆で生呉を作り、煮沸管で炊いて呉にする。呉は豆乳とおからに分離する。60kgの大豆から、豆乳約300L、生おから約72kgができる。同社では生おからの一部を乾燥おからに加工している。同社では消泡剤を使用せず、代わりに豆乳に圧力をかけて真空脱気して、豆乳内の気泡を取り除く。真空脱気装置には窓がついており、内部の様子を確認できるようになっている。

真空脱気装置
真空脱気装置

豆乳は一度冷却し、品質安定化のため、ホールドする。紙パックとうふの充填製造機は四国化工機グループで設計開発したものだ。ロール紙を殺菌してから筒状にして豆乳とにがりを充填する。1時間で8,000パック充填可能となっている。

ロール紙を殺菌後、筒状にして豆乳とにがりを充填する(イメージ)
ロール紙を殺菌後、筒状にして豆乳とにがりを充填する(イメージ)

日付を印字し、加熱と冷却を行い、X線検査装置で異物検査を実施後、梱包・保管後、出荷する。常温商品の場合は、保管温度の違いによる結露を発生させないよう、保管温度を調整している。

木綿豆腐の充填製造機も自社オリジナルのものだ。一丁ずつ容器内で豆乳を凝固させたあと、一度崩し、絞って豆腐を成型する。そのあと、小分けタイプの場合はその一丁の豆腐をカットして容器に入れて包装する。日付印字後、加熱して熟成させる。冷却し、印字内容の確認、金属探知機・X線装置による異物検査を実施した後、さらに商品をカメラで5方向から撮影し、欠けや異物を確認する。ここまでの一連の工程がオートメーション化されている。

X線装置による異物検査
X線装置による異物検査

同社は、「当社の豆腐はお客様にとって少し価格が高いと思う。しかし、その分品質管理を徹底している。おいしさは食の豊かさであり、当社製品のおいしさを品質と共にお伝えし続けたいと思う」と想いを語った。

〈大豆油糧日報 2026年1月29日付〉

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発行:
昭和33年(1958年)1月
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