日本ハムが会見、誰も真似できないニッポンハムグループを目指す―前田副社長

前田文男取締役副社長、井川伸久代表取締役社長
前田文男取締役副社長、井川伸久代表取締役社長

〈たんぱく質の可能性を最大限に引き出す、攻めの経営を徹底〉

日本ハムは2日、大阪市北区の本社で代表取締役社長の交代に関する記者会見を開いた。4月1日付で代表取締役社長に就任するの前田文男取締役副社長は、最優先課題として「井川社長が率先してきた構造改革を継続し、さらに進化させる」としたうえで、「創業事業であるハム・ソーセージと加工食品の売上げのボリュームアップと海外事業の収益化」を喫緊のテーマに挙げた。また、中長期では「成長戦略の具体化が必要」と強調した。さらに、「収益力の持続的な向上と社会価値の創造に取り組む。最も重要なのは、環境変化に抗い、挑戦し続ける組織・企業であること。たんぱく質の可能性をテクノロジーとイノベーションで最大限に引き出す攻めの経営を徹底し、誰も真似できないニッポンハムグループを目指す」と意気込みを述べた。

会見で、井川伸久代表取締役社長は、「社長就任時に掲げた『多様なたんぱく質を通してお客様の笑顔を届ける』という使命を胸に、挑戦と変革を進めてきた。来期からは取締役会長として役割は変わるが、風土改革の推進などを通じて新社長を支えていきたい」と述べた。また、「プロ野球・北海道日本ハムファイターズのオーナーは継続し、チームの成長と今シーズンの優勝を見届けたい」と語った。

前田副社長は、「代表取締役社長という大役を担うことになり、身の引き締まる思い。ニッポンハムグループの歴史と伝統をしっかりと引き継ぎ、企業理念のテーマである『食べる喜び』を通して社会に貢献する」と抱負を述べた。また、「食のインフラを担う企業として、多様なたんぱく質を供給し続ける。ビジョン2030『たんぱく質を、もっと自由に。』の実現に向け、構造改革や成長戦略、風土改革を進め、バリューチェーン全体の価値最大化に注力する」と力を込めた。

そして、キーワードとしてプロテインの可能性を挙げ、「ヘルスケア、医療、化粧品、スポーツなど、あらゆる領域に挑戦し、新しい価値を創造していく」としたうえで、「食のインフラを支えている誇りを持ちながら、既存事業では食領域を成長させるとともに、海外事業の基盤確立や、新規ではボールパーク事業の発展、プロテインの可能性を第2の成長エンジンとして作り上げていくことが、私の使命であり抱負だ」と強調した。

質疑のなかで井川社長は、社長交代の時期について、「2023年に社長に就任した時点で、3年で改革すると心を決めていた。中計の途中だが、幸いにも、今期は過去最高の売上高と事業利益を見込む。当初の『3年でやり切る』ことを全うした」との認識を示した。また、後任に前田副社長を指名した理由については、「最大の強みは、豊富なリーダー経験、挑戦心、そして誠実さ。この3点が決め手。成長の方向性を実現していける」と期待を示し、今後の役割分担については、「事業面は前田新社長に一任する」と説明。自身は会長として取締役会議長、ファイターズのオーナー(継続)とともに、「風土改革に引き続き取り組む。外部との付き合いを担う」とした。

井川社長は在任中でとくに印象に残ったこととして協業(共創)を挙げ、「JA全農と提携できた。CPフーズ(タイ)とも長期にわたり取り組んできた提携を自分の代で前進させることができた」と語った。また、北海道ボールパークFビレッジについては、開業と自身の社長就任がほぼ同時期だったと振り返り、「開業当初は、お客様は入ってくれるがさまざまな課題があった。それを乗り越えて評価されていることが感慨深い」と述べた。

前田副社長は課せられた課題について、「次期中計では次のステージを目指す。数値目標は当然あるが、達成のためには人材の強化が不可欠。挑戦する風土をつくり、人材の強みをより強固なものにしていくことが、最も重要な課題」と述べた。

一方、構造改革が進む一方で成長戦略が遅れているとの質問に対し、井川社長は「大きな課題」と認めたうえで、加工事業において組織体制を来期から見直し、「バリューチェーン全体で判断できる体制にする」とし、市場が伸びにくいなかでも、短いスパンで多くの商品を投入しながら検証を重ね、ヒット商品につなげる方針も示した。また、加工事業の海外展開については、北米の買収工場の立ち上げが当初計画通りに進んでいない現状を認めつつ、「北米事業は大きな目玉であり、やり切って次のステージにつなげていきたい」と強調した。アジアではCPフーズ社との提携に触れ、効果の本格発現は来期以降になるとの見通しを示した。

前田副社長は「環境変化で最も注意すべきは為替。タイ事業の遅れの半分以上の要因は、通貨の日本円の弱さだ」と説明。「タイ国内の販売を強化する。シャウエッセンだけでなく、CPフーズ社の販売網を活用し、販売を強化していく。価格競争力のある豚肉加工品については、円安のなかでも輸入して戦える商品があると認識しており、活用していきたい」と述べた。

川上領域(トルコ)では、国際飼料マーケットの変動や国の政策要因など不確実性が高いとしたうえで、収益安定化に向け「鶏肉事業の強化に加え、周辺国への輸出、とくに通貨の強いEU向け輸出にも当面取り組む」と語った。

井川社長は、今後の事業の柱を「食肉事業、加工事業、スポーツ・エンターテイメント事業(ボールパーク事業)の3つ」と位置づけ、「従来のスポーツ事業推進部から格上げし、事業部化する」と説明した。ボールパークを中心とした街づくりを進めるとともに、将来的には「食とスポーツという大きなテーマに進出してもらいたい」との考えも示した。

そのほか、前田副社長は、札幌赴任の経験から北海道に愛着があるとしたうえで、ファイターズの躍進について「私のみならず、従業員にとっても誇り」と述べた。ボールパーク事業については、新駅開業や2軍の移転を見据え「事業としての魅力は高まっていく」との認識を示し、従来事業とは異なる法務や税務などの強化も含め、「事業を応援していきたい」と語った。

〈畜産日報2026年2月4日付〉

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