【令和8年熊本地震】畜産・食肉業界の状況、情報収集に努める、物流への影響を懸念(7月29日18時時点)

7月28日午後4時27分ごろに発生した「令和8年熊本地震」では、宇城市と氷川町で最大震度7の大きな揺れを観測し、各地に甚大な被害が及んでいる。畜産・食肉業界では各社、被害状況など情報収集に努めているところだが、畜舎や設備の損壊といった情報があるほか、一部の事業者(地域)は電話がつながり難いところもあり、被害状況の全容が見えてくるには少し時間がかかるとみられる。

施設の直接的な被害だけでなく、高速道路の通行止めなどに伴う商品の配送や家畜の輸送への影響も懸念される。今後の状況次第では、県外施設でのと畜やフェリーを活用した配送など各所でさまざまな対応が行われるとみられる。

まず、国の対応として、農水省は緊急自然災害対策本部を断続的に開き、各局庁から被害状況の収集を行っている。畜産局企画課によると、29日午後2時時点で、生産者などからの大きな被害報告は受けていないものの、引続き各機関や省庁と連携しながら情報収集に努めていくとしている。

以下、各社への確認が取れた範囲で29日時点の状況をまとめた。

【流通関係】

宇城市豊野町にある(株)熊本中央食肉センターは、29日午後4時現在、通信機器あるいはネットワークの故障で電話がかかり難い状況にあるという。菊池市七城町の(株)熊本畜産流通センターは電話がつながるものの、経営幹部が状況把握や関係先への連絡などの対応に追われているようで、本紙として状況の確認が取れなかった。一方、播磨郡錦町のゼンカイミートは、事務所・工場ともに被害はなく、通常業務を行っているという。

JA全農ミートフーズ九州営業本部によると、熊本畜産流通センター内にある熊本出張所は職員の安否が確認でき、事務所も被害や問題は認められなかったようだ。また、日本食肉格付協会によると、県内にある七城事業所(熊本畜産流通センター内)、豊野事業所(熊本中央食肉センター内)、人吉事業所(全開連人吉食肉センター内)では、職員が無事なことを確認している。このうち、七城事業所と人吉事業所は強い揺れで事業所内が散乱したものの、29日は通常業務を行っているという。しかし、豊野事業所は揺れが非常に大きかったため、施設にも被害が及んでいるもようで、稼働停止中という。

日本食肉市場卸売協会によると、福岡市中央卸売市場食肉市場は揺れを感じたもの、目立った被害は出ていないという。ただ、高速道路の通行止めの影響から鹿児島や宮崎などから、一時的にモノが届かなくなる可能性があるという。

日本ハムによると、29日午後1時現在、グループ全体での被害は確認されていないという。熊本を含む九州地区のサプライチェーンへの影響については、詳細を確認中としている。伊藤ハム米久ホールディングスでは、グループの熊本営業所(上益城郡嘉島町)をはじめ九州の各工場・事業所も被害は認められなかったという。引続き情報収集に努めるが、今後、物流面での支障が及ぶ可能性があるとしている。

プリマハムも29日午後2時現在で被害の報告はないとしている。スターゼンは、鹿児島県内にスターゼンミートプロセッサー阿久根工場、同阿久根工場加工センター、同加世田工場のほか、九州地域に熊本営業所をはじめ9カ所の営業所(DC含む)を設けているが、熊本営業所・社員への被害はなかった。ただ、取引先のスーパーなどで被害を受けたことが想定され、影響を調査しているという。

【生産関係】

菊池郡大津町の熊本県家畜市場によると、施設・職員の直接的な被害はなかったものの、29日は予定していた成牛のセリを中止し、代替日を調整しているという。また、牛舎に被害を受けた出荷者もいるという。道路事情が悪化しているため、今後は集荷にも影響が及ぶ可能性があるという。全国肉牛事業協同組合では、連絡が付いた会員からは、ケガもなく、牛舎などにも大きな被害はないもようで、引続き情報収取に努めていくとしている。
日本養豚協会(JPPA)も、午後4時現在で大きな被害報告はないものの、一部で豚舎の壁や飼料ラインの破損が確認されているという。道路の寸断や水・電気の供給状況など今後の影響を注視しつつ、引続き情報収集を行うとしている。日本食鳥協会では、会員に状況確認を行い、現時点で目立った被害の報告はないものの、引続き情報収集に努めるとしている。今回の地震による水や電気の寸断、食鳥処理ラインへの影響が懸念されるとしている。

〈畜産日報 2026年7月30日付〉

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