台湾食品業界、AI活用と高付加価値化が加速 FOOD TAIPEI 2026で最新動向を探る
台湾の食品・飲料業界では、AIやデジタル技術を食品分野へ応用する動きが広がっている。伝統産業や生鮮品を中心に高付加価値化が進み、製造現場では省人化・効率化の取り組みが加速。健康志向を背景に、機能性素材や独自技術を活用した菓子や飲料の提案も活発化している。
こうした潮流は、6月24~27日に台北市内で開催された食品展示会「FOOD TAIPEI MEGA SHOWS 2026」において鮮明に表れていた。
◆AI技術で水・電気使用量が従来比30%減少
米屋智農股份有限公司は、テクノロジーにより伝統農業の変革を進めている。同社は台湾を代表する高級米ブランド「大橋牌」を展開し、台湾の米作農業において契約栽培とスマート農業をいち早く導入した。700戸以上の農家と契約し、その栽培面積は約1000万平方メートルに達する。
産学官連携により、独自のスマート管理システム「Smart Rice Supply Chain Management」を確立。農家はスマートフォンで水田のモニタリング(遠隔巡回)を行い、精米工場側では冷蔵桶の温度監視や品質等級別の精米など、日本の技術・基準を取り入れた高度なIT管理を行っている。

このシステムを生かした「AI低炭素米(AI-Green Rice)」の普及にも力を注ぐ。AI技術を活用した「乾湿交互灌漑管理(AWD)」は、写真を撮ってシステムにアップすると、最適な水量などを分析できる。農家一軒あたり5~6本必要だった水量を管理するセンサーを同システムに置き換えることができ、大幅なコスト削減につながるという。「伝統農法では水の量を減らすと生産量が減ってしまい、品質も悪くなっていたが、AIなら品質を維持したまま、水や電気は従来比30%減、CO2排出量は約30%削減できる」(米屋智農)。2025年にはクリーンラベルをコンセプトとする国際的な賞「A.A. TASTE AWARDS」を受賞するなど、食味と環境配慮の両面で高い評価を得ている。
◆省力化農機や先端技術を活用し、効率的な生産を実現
台湾産パイナップルは海外市場で人気が高く、対日輸出量も伸びている食材のひとつだ。映美生物科技有限公司は、苗の選定や新品種の育成をはじめ、生産から加工・流通・販売まで一貫して行い、台湾産の高品質なパイナップルを提供している。約25年前には自社ブランド「阿美鳳梨」を立ち上げた。

年間20~30種のパイナップルを生産しており、通年で安定供給できる点が強みだ。冠芽(クラウン)や果皮、果肉をはじめ、茎、葉まで余すことなく活用し、生食用や加工品、医薬品などの幅広い製品を展開している。
生産においては、省力化農機の導入や先端技術を活用したスマート農業を推進。台湾で初めて導入した2列の乗用管理機(中耕・施肥機)によって溝切り、施肥、覆土を同時に行い、従来比約2.8倍の効率化を実現したという。
◆分子微細化技術で栄養素の体内吸収率を高める
独自技術を使った新たな切り口の商品も生まれている。蕓鼎企業股份有限公司は、2021年に機能性果汁飲料ブランド「PASSION 24」を立ち上げた。果汁に、植物由来の抽出物と特許技術を組み合わせた商品を展開している。日常の栄養摂取を「美味しく、楽しく、手軽に」することを掲げ、カフェイン、タウリン、合成着色料、保存料を使っていない。

看板商品は、アルミ缶入りのエナジージュース「WAKE」だ。パッションフルーツとリンゴ果汁で99%を占め、機能性関与成分として、漢方などで用いられる葛根や紅参の抽出物を入れている。摂取目安量の1日1本(235ml)で、エネルギー向上、代謝サポート、二日酔い防止の働きが期待できるという。主なターゲットには25~45歳の健康意識が強い層を想定している。
特許の分子微細化技術(LIGHT ENERGY WAVEFORM Patented Technology)を用いて商品化した。果実特有の雑味を抑えてすっきりした味わいとし、栄養素の体内吸収率を高めている。
◆台湾産食材×チョコレートでギフト需要掴む
Cona’s Chocolateは、年間平均気温約18℃とヨーロッパに近い気候を持つ台湾の南投県で2011年に誕生した高付加価値ブランドだ。チョコレートと台湾現地の食材を組み合わせた製品により、これまでに150以上の国際的なチョコレート賞を受賞している。
製造工程では安定剤や保存料を使わず、地元産の農薬不使用の原材料を厳選。南投産のルビー紅茶(紅玉紅茶)やウーロン茶、台湾を代表するフルーツ、そして世界各地から調達した最高級のカカオ豆を使用している。

人気商品のドライフルーツチョコレートシリーズは全10種。六角形のカラフルなパッケージとフレーバーの珍しさがうけ、主にギフトとして支持されている。売れ筋の「鳳梨黃金葡萄乾巧克力」は、パイナップルと大粒の干しブドウを練り込み、ホワイトチョコレートでコーティングした粒チョコレート。2019年にはICA金賞やAOC銅賞など、国際的なチョコレート品評会で受賞した。
台湾経済部発表の貿易統計によると、台湾の2025年対日食品輸出額は約1億350万米ドルとなった。前年比では約10%減だが、2015年比では47.7%増と大幅な伸長で、今後も拡大が見込まれる。







