ケンタッキー、全国1400店で生肉から一本一本調理 カーネルも認めた「日本のチキン」支える現場

圧力鍋を使い最高185℃で約15分調理する
圧力鍋を使い最高185℃で約15分調理する

日本ケンタッキー・フライド・チキン(日本KFC)は、創業以来56年間守り続ける「オリジナルチキン」の味づくりへのこだわりを伝えるため、7月30日に本社(横浜市)でメディア向け体験会を開催した。

「オリジナルチキン」を調理できる社内資格「チキンスペシャリスト」の中でも、世界で唯一「チキンマイスター」の称号を持つ笠原一樹氏が、原材料や調理工程、品質管理へのこだわりを解説した。さらに、日本KFCでは初となるメディア向けのオリジナルチキン調理体験も実施し、報道陣が店舗で行われている粉付けなどの工程を実際に体験した。

オリジナルチキン(体験会で筆者が粉付けしたもの)
オリジナルチキン(体験会で筆者が粉付けしたもの)

〈「日本のチキンが一番近い」――カーネル・サンダースの言葉〉

オリジナルチキンのレシピは1940年、創業者カーネル・サンダース氏が約10年をかけて完成させた。現在では世界145以上の国と地域、約4万店舗で提供されている。

笠原氏によると、カーネル・サンダース氏は生前3度来日しており、「私が作ったオリジナルチキンに一番近い」と日本のチキンを高く評価していたという。

笠原氏は「海外で食べると日本と少し違うと感じる方もいるかもしれませんが、日本ではカーネル・サンダースから教わったレシピや調理法を頑固に守り続けています」と語る。

日本KFCでは、この言葉を誇りに、創業者から受け継いだ味の継承に力を注いできた。その味を支えているのが、全国約1400店舗で行われる店舗調理と、人材育成の仕組みだ。

チキンマイスターの笠原一樹氏
チキンマイスターの笠原一樹氏

〈全国約1400店で、生肉から一本一本調理〉

ケンタッキー・フライド・チキンでは、看板商品「オリジナルチキン」において、全国約1400店舗すべてで、生の国産鶏肉から一本一本手作業で調理している。

店舗で生の鶏肉を下ごしらえし、粉付けを行い、専用の圧力フライヤーで約15分かけて調理する。下準備を含めると完成まで約40分を要するという。

笠原氏は「品切れになった際、『ファストフードなのに40分も待つのか』と言われることもあります。しかし、生肉から店舗で調理しているため、それだけ時間がかかります」と説明した。

また、使用する鶏肉にも独自の基準がある。

オリジナルチキンには、全国約170カ所の契約農場でKFC独自の飼料を使って育てた、生後約35日の若鶏を使用する。一般的なブロイラー(50日前後で出荷)よりも早い段階で出荷することで、オリジナルチキンに最適な肉質を追求している。

「オリジナルチキン」には5部位を使用
「オリジナルチキン」には5部位を使用

笠原氏は「鶏が大きくなると骨や筋肉が発達し、肉の風味も強くなります。35日前後が、11種類のハーブ&スパイスとのバランスや骨への火の通り、肉のやわらかさを考えたときに最も適しています」と説明した。

【この記事の画像14点はこちら】ケンタッキー「オリジナルチキン」の調理工程、5部位の特徴

店舗では、11種類のハーブ&スパイスを使ったシーズニングと小麦粉を、使用直前に混ぜ合わせて鶏肉にまぶす。シーズニングは香りが飛ばないよう、小麦粉とは別々に店舗へ届けられているためだ。

〈品質を支える「チキンスペシャリスト」〉

店舗でオリジナルチキンを調理できるのは、社内資格「チキンスペシャリスト」の取得者、または資格保持者の管理下にある従業員に限られる。

資格はCからSまで4段階あり、筆記試験と技能試験に合格する必要がある。

筆記試験では、「オリジナルチキンには何種類のハーブ&スパイスを使用しているか」といった基礎知識に加え、「調理前の重量が規定より軽い場合、仕上がりはどうなるか」といった実践的な設問も出題される。

技能試験では、衛生管理から下ごしらえ、調理、清掃まで約50項目をチェック。資格は毎年更新制で、基準を満たさなければ更新できない。

笠原氏は全国の店舗を巡回し、調理技術や品質管理の指導も担っている。

粉付けを行う笠原氏
粉付けを行う笠原氏

〈記者も調理体験 想像以上に繊細な工程〉

体験会では、実際の店舗と同じ工程で粉付けを体験した。

鶏肉を水にくぐらせた後、シーズニングの入った粉の中で規定回数転がし、さらに上から押し込む。余分な粉は手で払うのではなく、手首同士を軽く打ち合わせるように振動を与えて落とすなど、一つ一つの工程に細かな決まりが設けられている。

実際に体験すると、作業自体はシンプルだが、決められた手順や回数を一つ一つ丁寧に守ることが、仕上がりを安定させるために欠かせないことが伝わってきた。特にウイングは羽先を組み込む工程があり、これも店舗で一つ一つ手作業で行われているという。

笠原氏は「アルバイトでも習得には1~2か月ほどかかります」と話し、全国どの店舗でも同じ品質の商品を提供するため、技術の習得と継承に力を入れていることを説明した。

また、部位ごとに大きさや食感は異なるものの、価格はすべて330円(税込)で提供している理由についても言及した。

「どの部位でも330円以上の価値を感じていただける体験を提供しなければいけません。味だけではなく、商品もサービスも含めて330円なんです」

オリジナルチキン5部位
オリジナルチキン5部位

〈レシピだけでは守れない味〉

1940年にカーネル・サンダースが完成させたレシピは、日本でも半世紀以上にわたって受け継がれてきた。

その味を守るため、日本KFCでは全国約1400店舗で生肉から一本一本手作業で調理し、資格制度を通じて技術を磨き続けている。

「日本のチキンが一番レシピに近い」という創業者の言葉を誇りに、レシピだけでなく、それを確実に再現する人材と仕組みを育て続けることが、変わらないオリジナルチキンのおいしさを支えていた。

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食品産業新聞

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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
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