缶コーヒーで進む“糖離れ” 「ファイア」刷新にLINE連動自販機のデータ活用で微糖・ブラック強化/キリンビバレッジ

「キリン ファイア」ショート缶商品
キリンビバレッジは、「キリン ファイア」ブランドをフルリニューアルし、微糖やブラックタイプを充実させるとともに、カフェオレに微糖タイプを新たに投入する。これは、近年の健康意識の高まりを背景に、さまざまな食品分野で「糖離れ」が進み、コーヒー市場でも40歳を境に微糖やブラックが多く飲用されることに着目したもの。コミュニケーションでは、石田ゆり子さんをイメージキャラクターに継続起用し、“ファイア=癒し”のイメージを高めていく。
「キリン ファイア」ボトル缶新商品

「キリン ファイア」ボトル缶商品

また、「LINE」と連動した独自の自動販売機コミュニケーションサービス「Tappiness(タピネス)」(18年4月時点で2万台展開)の購買データを、今回初めて商品開発や広告、プロモーションなどのマーケティングに活用しているという。

同データと定量調査の結果を加味した缶コーヒーのユーザー分析では、9つのタイプの缶コーヒーユーザーを明らかにした(〈1〉朝の目覚めに〈2〉休憩のお供に〈3〉On the desk〈4〉朝昼の仕事前に〈5〉朝のスイッチ、夕方のリラックス〈6〉午後に向けての気合入れ〈7〉日が沈んでからが勝負〈8〉深夜作業にちょっと一息〈9〉気がついたらコーヒー)。

「LINE」と連動した“タピネス自販機”

「LINE」と連動した“タピネス自販機”

同社担当者は、「集約すると缶コーヒーユーザーは9つのタイプに分けられ、その中にも規模の大小があることがわかりました。また、同じブラックでも飲む目的が異なり、“目を覚ましたい”や“リフレッシュ・気合入れ”など、時間帯によっていろいろな飲み方をされている傾向が見えました」とする。

そこで、缶コーヒー愛好家の購買・飲用行動に合わせた商品を開発したという。たとえば、朝はブラックタイプの需要が高いため、商品名も“目覚めの深煎り”とし、午後はスタンダードタイプ(砂糖・ミルク入り)が好まれるため、商品名は“くつろぎブレンド”としている。

商品ラインアップは、185g缶において、より香りを高めた「キリン ファイア 挽きたて微糖」、従来品よりカロリーを抑えた「同 くつろぎブレンド」、華やかな香りとすっきりとした後味の「同 リフレッシュブラック」、2つの焙煎度が違う深煎り豆を直火で仕上げた微糖タイプのカフェオレ「同 カフェオレビター」を10月2日から全国発売する。

また、ボトル缶は、深煎り豆を直火で仕上げたコクと香ばしさが特徴の「キリン ファイア コクと香りの挽きたて微糖」(自販機専用、260g缶)、深みのあるコクと香ばしさが楽しめる「同 ブラック 目覚めの深煎り」(275g缶)を9月25日から既に発売、モカの華やかな香りと余韻が楽しめる「同 香るモカブレンド 微糖」(370g缶)を10月2日から発売する。

〈WEB動画は時間帯・お天気連動で展開〉
プロモーションは、「ファイア」ブランドテーマである「頑張っている人の心に火を灯す」という“癒し”を訴求する。テレビCM以外にも、生活者の視聴時間帯や天候に合わせて推奨する製品を変化させるWEB動画を展開する。担当者は「時間帯や天候に合わせた動画配信を行うことで、より距離感の近いメッセージを発信します。“癒しのファイア”をテーマに、より身近な存在になった石田さんが、缶コーヒーユーザーに語りかける内容になっています」としている。

石田ゆり子さんを起用、天候などと連動して展開するWEB動画「晴れた日は」編(上)、「雨と私とあなた」編(下)

石田ゆり子さんを起用、天候などと連動して展開するWEB動画「晴れた日は」編(上)、「雨と私とあなた」編(下)

缶コーヒーの市場は、PETコーヒーの隆盛や働く人の休憩時間の過ごし方の変化もあり、今年1‐6月累計の販売数量は約10%の減少となった。缶コーヒーユーザーの購買行動や飲用動機を徹底検証した今回のキリンビバレッジの提案が、ユーザーにどのように受け止められるかに注目したい。