「カロリーメイト」アイテム別売り上げに変化、“リキッド”が伸長し続けた理由とは

大塚製薬「カロリーメイト」(リキッドタイプ フルーツミックス味、ブロックタイプ チーズ味)
大塚製薬「カロリーメイト」の売上動向は、コロナ禍で、“これまでにない動き”を見せている。

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ブランド全体としては、各自治体から初めての外出自粛が要請された2020年3月直後に売り上げが上昇。4月から5月はその反動があり、9月以降から再び回復した。しかしその動きにはアイテム別で違いが見て取れた。基幹商品であるブロックタイプの売り上げはブランド全体売上推移と連動したが、リキッドタイプはブロックの売り上げが一時下がった時も、一貫して上昇を継続。その理由を紐(ひも)解くと、剤型別の特徴が見えてくる。

「カロリーメイト」は、5大栄養素(ビタミン、ミネラル、タンパク質、脂質、糖質)が手軽に補給できるバランス栄養食として1983年に誕生。現在、ブロック、リキッド(液体)、ゼリーの3タイプで展開している。

ブランドのメインアイテムであるブロックタイプは、朝や隙間時間に短時間で食べるという代替食ニーズが減り、2020年4月以降の売り上げが落ちた。ただ、9月以降は4カ月連続で目標を達成するほど回復している。ブロックタイプが最も食される朝7時〜9時のニーズは戻らなかったものの、緊急事態宣言や外出自粛の影響から、飲食店の利用が減ったり、自炊疲れや経験不足など、食事をどうしようかと困っている人たちの利用が増え、これまでの使われ方に変化が見られたという。

リキッドタイプはブロックの売り上げが落ちた4月〜5月も含め、2020年中はずっと右肩上がりで伸び続けた。店頭のPOSデータを分析すると、毎月新規顧客を獲得しながら伸長したという。

ゼリータイプについて言うと、パウチゼリー市場全体は厳しい中で、カロリーメイトゼリーについては、ヘルスケア分野、特に医療チャネルやデイサービス、在宅ケアなどで需要が伸びたことが特徴的という。また更に足元では、発熱に対処する製品と併せて購入されるなど、この製品の有用性が理解されて需要も伸びているとのこと。

大塚製薬「カロリーメイト」(ゼリータイプ アップル味)

大塚製薬「カロリーメイト」(ゼリータイプ アップル味)

 
この様に、「カロリーメイト」全体の好調要因を総括すると、生活者の「これまでと同様に食事がとれない」「栄養がバランスよく摂れているか不安」「食が進まない」といった課題に応えられたことが大きかった。
 
さらに、2021年は、使われ方が多様化した上に、2020年よりも行動する人が増えたことで、以前からあった忙しい時に摂るという需要も一時期よりも回復し、好調を続けている。
 
なお、もともと「カロリーメイト」のブロックタイプとリキッドタイプは、同じブランドで1983年に誕生したが、開発背景が異なる。
 
ブロックタイプは、将来増加する朝食欠食を見込み、“いつでもどこでも誰にでも食べられる朝食”として開発された。

“いつでもどこでも誰にでも食べられる朝食”として開発されたブロックタイプ

“いつでもどこでも誰にでも食べられる朝食”として開発されたブロックタイプ

 
一方、リキッドタイプは、食の欧米化を受け、現代人の栄養バランスをサポートする存在として同年に誕生した。「ポカリスエット」が輸液(点滴剤)から生まれたことは良く知られているが、「カロリーメイト」のリキッドは、「ハイネックス-R」という医療現場で使われる流動食を一般向けに応用開発して誕生。“点滴に代わる栄養食”の位置づけだ。
 
〈栄養に対する意識の変化〉
大塚製薬製品部でカロリーメイトを担当する岩崎央弥さんによると、開発当時の日本では、肉中心の食事をする人やカップラーメンを食べる人が増えていた。大塚製薬では、食生活の中に「ハイネックス-R」の栄養を取り込むことで栄養の補助として貢献できるとの考えから「カロリーメイト」のリキッドタイプを開発した。
 
大塚製薬の調べでは、最近のリキッド購買者は、30代〜40代の男性が多く、購入時間帯は夕方以降が多い。そして、エナジードリンクのユーザーが多いという。この結果について、岩崎さんは、「エナジードリンクをよく飲まれていた生活者が年齢を重ね、先を見据えた時に“カロリーメイト”リキッドを選択しているようです。人生の中で結婚やローンなど、健康を意識するタイミングを迎え、自分が健康でいることが自分だけのためではないと考える方々を中心に、バランス栄養の価値に注目しているのではないでしょうか」と分析。自分の健康は自分で守る。今の自分、将来の自分のための栄養を見直すという意識変化が起こってきているのではないか。
 
岩崎さんは「カロリーメイト」の今後について、「コロナ禍を経て、使用されるシーンは、これまでと全く同じではなくなるでしょう。私たちは、原点に戻って商品が持つ独自価値である“バランス栄養”自体の必然性を高めていきます。それに加えて、“カロリーメイト”を“便利だよね”ではなく、“バランス栄養のブランドだ”という認識を拡大していくことが課題だと考えています」と語る。