「コスタコーヒー」発売2年目で認知度6割に、カフェ感打ち出し新たなユーザー層つかむ/コカ・コーラシステム

「コスタコーヒー」のラインアップ

コカ・コーラシステムは、2021年4月から日本で発売した「コスタコーヒー」(265mlPET/自販機用280mlPET)ブランドの認知度が、全世代で約6割となり、メインターゲットにする30〜50代男女でも約7割まで上昇したことを明らかにした。競合の多いペットボトルコーヒーの中で埋もれずに存在感を示して現在も店頭に並んでおり、ここまでの活動は成功しているといえるだろう。

だが、新製品を競争の激しい市場で継続的に根付かせるのは簡単ではない。「コスタコーヒー」は、ヨーロッパでは最大の店舗数を誇るカフェチェーンだが、日本では展開していないためもともとの認知度が低い。さらに、265ml製品で167円(税別)のため、他のペットボトルコーヒーに比べると割高感は否めない。どのような取り組みをして定着を図っていくのか、日本コカ・コーラ社でコスタ部門のシニアマーケティングディレクターを務める成岡誠さんに話を聞いた。

日本コカ・コーラ社コスタディビジョンの成岡誠シニアマーケティングディレクター

「導入1年目の2021年は、新しいプランドであり、ヨーロッパのように実際のカフェを日本は展開できていない中で、どれだけ認知を高めることができるかにチャレンジした。2022年は認知をさらに上げるため、女優の米倉涼子さんを起用した新しい広告キャンペーンを展開したところ、全世代の認知度が約6割になるなど効果が出た」。
 
認知度の上昇は、新たな広告キャンペーンを大きく展開したことや、自動販売機や小売店(コンビニエンスストアやスーパーマーケットなど)で、「コスタコーヒー」のシリーズ(カフェラテ、ラテ エスプレッソ、ブラック、アーモンド ラテの4品)のうち2〜3品をしっかり並べられたことも大きかったとする。
 
コカ・コーラ社が「コスタコーヒー」に注力しているのは、同社のコーヒーブランド「ジョージア」では捉えきれなかったユーザーにアプローチできることも背景にある。従来から幅広い世代に向けて缶コーヒーやペットボトルコーヒー製品を販売してきた「ジョージア」に対し、ヨーロッパのカフェブランドという強みを活かした「コスタコーヒー」は、付加価値の高いポジションを築いている。
 
その結果、これまで缶コーヒーやペットボトルコーヒーには親しみがなく、カフェでコーヒーを楽しむ人たちが「コスタコーヒー」を手に取っており、女性層や学生からの支持が高いという。成岡さんは、「これまでのコーヒーブランドではなかなか取り込めなかった新たなお客様に支持されている。その意味では、当社が2つのコーヒーブランドを展開する成果が出ている」とする。
 
飲用シーンも、これまでの缶コーヒーとは大きく異なる。缶コーヒーは、仕事の合間のショートブレイクが多かった。「コスタコーヒー」は、食後のリラックスしたい時間など、カフェの代替として飲まれるケースが多い。スイーツを食べながら、またはゆっくりできる時間に楽しむなど、飲用目的がカフェの利用シーンに近いことが特徴という。
 
今年は、新たなユーザーをさらに増やすため、5月〜9月にかけて150万本をサンプリングし、7月には全国6都市で約4万本を手配りでサンプリングした。認知は広がっているものの、まだ買う機会がなかった人たちに飲んでもらう取り組みだ。「まだ飲まれていない人たちに自信のあるおいしさを知ってもらえれば、飲用する機会を増やせると考えた。ラインアップも増えてきているので、バリエーションも含めて購入時の選択肢に入れてもらうきっかけにしたい」(成岡さん)。

東京・新宿でのサンプリングの様子(2022年7月)

日本のコーヒー飲料のマーケットは競争が激しく、新しいブランドが生き残るのは難しい。「コスタコーヒー」は、厳選したコーヒー豆を通常の1.3倍使用したコクのある深い味わいとヨーロッパのカフェから生まれたというブランドの強みを活かし、定着を図る。9月5日からは、新フレーバーの「コスタコーヒー キャラメル ラテ」(265mlPET)も発売し、製品でもニュースを発信する。ユーザーの興味を引きつけるため、コミュニケーション、サンプリング、新製品導入など、切れ目を作らずに情報を発信し続ける考えだ。

新商品「コスタコーヒー キャラメル ラテ」(9月5日発売)