味の素AGFの“5秒で作れる”「ブレンディ」マイボトルスティックシリーズ、誕生の背景に開発研究所の“新しい感性”と“積み重ねたノウハウ”

味の素AGF「ブレンディ」マイボトルスティックシリーズ
味の素AGF「ブレンディ」マイボトルスティックシリーズ

味の素AGFは2024年3月から、「ブレンディ」マイボトルスティックシリーズ(6品種、各6本入)を全国発売している。拡大するマイボトルの中身の提案であり、スティック1本で作れるパウダードリンクだ。マイボトルに水やお湯を注ぎ、約5秒振るだけで手軽に作ることができることが特徴。これまでにない切り口の商品のため、どのような開発の苦労があったのか。味の素AGF社開発研究所の商品開発部のメンバーに話をきいた。

開発研究所のメンバー(後列左から時計回りに)山本さん、中村さん、松村さん、井口さん
開発研究所のメンバー(後列左から時計回りに)山本さん、中村さん、松村さん、井口さん

そもそも「ブレンディ」マイボトルシリーズは、簡便性と味わいの両立を目指した欲張りな商品だ。特徴は、豊かな香りですっきりとした味わいでバラエティが豊富なこと。マイボトルドリンクが簡単に5秒で作れること。プラスチック削減に貢献できるエコスタイルであること。そして、350ml~500mlボトルに対応し、ホットもアイスも楽しめるなど汎用性が高いことだ。

この新領域への挑戦となる「ブレンディ」マイボトルスティックの開発担当者の一人として、同社は入社1年目の開発研究所商品開発部の井口夢香さんを抜擢した。中村厳海グループ長は、「全く新しい製品なので新しい感性を持つ若い人に任せたい」と考えたという。

井口さんは、新シリーズの「ピーチルイボスティー」と「マスカットルイボスティー」を担当した。当時の気持ちを以下のように語る。「先輩からいろいろ教えてもらい、原料の知識を学ぶところから始めました。面白さと同時に難しさを感じたのは、似たような原料でも特性が違ったり、扱い方が異なることです。実際に使い方を模索しながら開発を進めました」。

「少し具体的に話すと、フルーツの要素とルイボスティーの要素のバランスにとてもこだわりました。原料は、分量が微かに違っても風味が大きく変わります。先輩に相談しながらさまざまな配合を何度も何度も試しました」。実際に、仕様決定までに数十通りの試作と評価を100回以上実施したという。

この味わいのバランスへのこだわりと、周囲の意見を取り入れながら仕上げたことは、「新しい感性」といえそうだ。同部の山本由紀グループ長代理は井口さんの取り組みについて、「当たり前と思っていたことでも新しい視点から取り組んでいたので、私自身の気づきにもなりました」と話す。

そして、「ブレンディ」マイボトルスティックシリーズの開発で、最も苦労したのは、やはりレシピの幅を広げてもおいしく飲めるようにすることだったという。井口さんは、「温度帯は、アイスでもホットでも常温でも対応しています。また、通常製品は何mlで作るということが決まっていますが、“マイボトルスティック”シリーズは、“350ml~500mlで溶解してください”としておりレシピの幅が広い。それは新商品の訴求ポイントですが、一番苦労した点です」とする。

「ブレンディ」マイボトルスティックシリーズは、無糖のお茶ながら果汁感をしっかり感じられることも訴求ポイントとなっている。この実現のために使われている技術は、味の素AGFの持つ「フレッシュ・フルーツ・エンハンサー技術」だ。新鮮な果汁感をアップさせる果汁由来成分をカプセル化して配合したもの。AGFが2013年に発売したフルーツフレーバーティーの(〈ブレンディ〉スティック ティーハート)のノウハウを生かしたという。

井口さんとともに新シリーズの商品化に携わった松村美里主任は、「甘さのないお茶がコンセプトです。甘味を入れずに果汁感を出すのは大変難しい。ですが、当社の技術である“フレッシュ・フルーツ・エンハンサー技術”を活用し、甘さがないお茶にチャレンジしました」とする。

こうした取り組みにより、AGFが実施した新シリーズの消費者調査の結果は、香りやすっきりとした味わいにより、6アイテムとも高評価を得たという。

「ブレンディ」マイボトルスティックシリーズをボトルに入れた様子
「ブレンディ」マイボトルスティックシリーズをボトルに入れた様子

味の素AGFは、新製品「ブレンディ」マイボトルスティックシリーズで新領域の開拓に挑戦している。同シリーズは、“新しい感性”でおいしさにこだわりぬくとともに、これまでに積み重ねてきた水でもサッと早く溶ける技術や、果汁感をアップさせる技術のノウハウを生かしており、新旧の融合で誕生した商品といえそうだ。

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昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
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