伊藤園、タリーズから新ペットボトルコーヒー「PLATINUM(プラチナ)」シリーズ発売、本格感で新領域開拓

「TULLY'S COFFEE PLATINUM BITTER BLACK」と「同 WHITE LATTE」 
「TULLY'S COFFEE PLATINUM BITTER BLACK」と「同 WHITE LATTE」 

伊藤園は9月24日、「TULLY’S COFFEE(タリーズコーヒー)」ブランドの新商品発表会を開催し、コーヒー好きが納得する味わいを目指すペットボトル入りコーヒー「TULLY’S COFFEE PLATINUM(タリーズコーヒー プラチナ)」シリーズを発表した。

10月6日に発売される同シリーズの「BITTER BLACK(ビターブラック)」(500mlPET、税込226円)と「WHITE LATTE(ホワイトラテ)」(260mlPET、税込216円)は、従来のペットボトルコーヒーとは一線を画す“本格感”を訴求する。発表会場では、タリーズ店舗で出されているものと同じ豆を使ったコーヒーとの飲み比べも実施し、「プラチナ」シリーズが、ショップクオリティを目指した品質であることを紹介した。

RTDコーヒー市場は、年間で約3億ケースの販売規模とされている。伊藤園は同市場について、185gを中心としたSOT缶が主流の時代から、2017年以降はペットボトル商品の拡大期を経て、現在は“コーヒー好き”が自分に合う味わいを選ぶ段階へ移行しているとする。

ペットボトルコーヒーは、ブラックが最近の市場を押し上げており、2024年は約3100万ケースとみられる(伊藤園調べ)。だが、直近2年は伸びがやや鈍化している状況にある。一方、「タリーズコーヒー」ブランドの商品は、ボトル缶コーヒーを中心に展開して過去最高の販売数量を更新し、今期(5~8月)も順調に推移している状況だ。

伊藤園は、ブラックのニーズが「ゴクゴク飲める」からレギュラーコーヒー品質の香味へシフトしたと考え、ペットボトルコーヒーの“新領域”に挑戦し、キレと上質な苦みのブラックを目指した。

新商品の「BITTER BLACK」は、コクと苦味をしっかり感じさせつつ、後味のキレを高めた設計。店舗で味わう上質な苦みとキレを意識したブラックの“新領域”を目指している。

一方、ペットボトルのカフェラテは、市場拡大をけん引してきたが、直近5年間の市場で販売数量が約19%減少し、2024年は約4600万ケースとみられる(伊藤園調べ)。同社は香味にもの足りなさを感じているのではないかとする。

そこで、「WHITE LATTE」は、店舗のカフェラテをベンチマークに、スチームミルクの甘みとコク、エスプレッソの力強さをペットボトルコーヒーで実現することを目指した。容量をブラックより少なくしたのは、“ごくごく飲む”止渇タイプでなく、カフェラテの味わいを重視してタリーズ店舗の主流品のサイズ感に合わせたためという。

商品開発について、伊藤園と店舗を運営するタリーズコーヒージャパンは、グループとしてこれまでも原料調達や焙煎などで協力し、品質を高めてきたという。2年前からはさらに連携を強化し、人事交流をはじめ、バリスタの知見を商品設計や味づくりに反映して相乗効果を高めているという。

伊藤園マーケティング本部の川田さん(左)と相澤マネジャー
伊藤園マーケティング本部の川田さん(左)と相澤マネジャー

伊藤園マーケティング本部の相澤治さんは、「容器ごとに役割を決め、味覚の方向性を分けている。タリーズ社との交流の密度が増えており、産地訪問や焙煎、商品設計も含めて一体化して進めている」と話した。

タリーズ社側には、RTDの高品質化により店舗との“カ二バリ”を危惧するかという質問が寄せられた。それについて、タリーズ社から出向中で同本部にて商品開発に携わる川田悠さんは、「どのチャネルでもおいしさを届けられることは、タリーズブランド全体の価値向上につながるので大切だ」との認識を示した。

「TULLY'S COFFEE PLATINUM」シリーズの2品
「TULLY’S COFFEE PLATINUM」シリーズの2品

コミュニケーションは、10月以降、「COFFEE LOVER’S TULLY’S」をテーマに、CMやイベントを実施し、生活者との接点強化を図る。

伊藤園の「TULLY’S COFFEE」ブランド商品の年間販売数量は、2024年に1,800万ケースを突破した。新ペットボトルコーヒーの目標は非公表だが、ボトル缶で確立した水準に匹敵するレベルまで育成する考えを示した。ペットボトルコーヒー市場における本格感を求めるユーザーの受け皿拡大に取り組んでいく。

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昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
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