ネスレ日本が沖縄で国産コーヒーの振興を支援、地域農業再生と特産品作りへネットワーク拡大

(左から)ネスレ日本一色氏、宮平氏、髙原CEO、深谷社長、又吉氏
(左から)ネスレ日本一色氏、宮平氏、髙原CEO、深谷社長、又吉氏

ネスレ日本は9月25日、「ネスカフェ 原宿」(東京都渋谷区)で同社の「ネスカフェ 沖縄コーヒープロジェクト」の取り組み状況を発表した。期間限定イベント「めんそーれ原宿!沖縄コーヒーフェス supported by NESCAFĒ」(10月19日まで開催)の会場では、数量限定で沖縄産コーヒーを提供しながら、農園写真の展示などを通じて“沖縄発の国産コーヒー”の魅力を発信している。

イベント会場に設けられた沖縄コーヒーを体感できるスペース
イベント会場に設けられた沖縄コーヒーを体感できるスペース

同プロジェクトは、サッカー元日本代表で沖縄SV代表の髙原直泰さんが立ち上げた構想をベースに、ネスレ日本の深谷龍彦社長が「20~30年先を見据えて続ける」と語る長期的な挑戦だ。コーヒー栽培を通じて、耕作放棄地の活用や観光資源化を視野に入れながら、地域農業の再生と新たな特産品作りを目指している。

参画農家の熱意も大きい。本島南部の宮平農園・宮平翼さんは約350本のコーヒーの木を栽培しており、「海抜が低く、アルカリ性の土壌に適した育成法を模索している」と語る。一方、本島北部で「又吉コーヒー園」を営む又吉拓之さんは、2,000本超えのコーヒーの木を栽培。「ネスレから苗木を無償で譲り受けられるので、品種を自由に試すことができる。今年は宮古島や石垣島、徳之島のコーヒー農家とも連携し、品質を評価するイベントも行った」と話す。

さらにネスレの直営管理農場では、うるま市で約300本、大宜味村で約200本、合計約500本を栽培し、知見を地域に還元すべく、各種検証を続けている。

発表会で登壇した深谷社長は「単にコーヒーを作るのではなく、沖縄の農業再生や観光との融合を進め、若い世代に誇れる産業として根付かせたい」と述べた。沖縄でのコーヒー栽培は気候的にも技術的にも容易ではないが、「農家の方々の努力と私たちのサポートで必ず花開く。20~30年かけて腰を据えて進める。それがネスレの責務だ」とし、長期的に支える考えを示した。

髙原さんも「最初は小さな一歩にすぎなかったが、農家の方の挑戦と情熱に支えられて広がった」と語る。自身も農場に日々足を運び、バッタによる食害と向き合いながら汗を流してきた経験を明かし、「(気候などの影響で)日本でコーヒーを育てるのは不可能に近いと言われたこともあった。だが、プロジェクトでの栽培場所は6年半を経て20か所以上に広がった。これは農家のみなさんの情熱の賜物なので、継続できるよう支えるのが私の使命」と話した。

「沖縄コーヒープロジェクト」
「ネスカフェ 沖縄コーヒープロジェクト」

「ネスカフェ 沖縄コーヒープロジェクト」は単なる栽培にとどまらず、地域農業の再生と次世代への継承を見据えた取り組みだ。コーヒーが沖縄の新たな特産品として根付くことが期待される。今後は、海外のネスレの農学者や琉球大学とも連携しながら、沖縄の土壌や気候に最適な品種・栽培方法の見極めを進め、直営農場や協力農家での試験栽培を重ねる。その上で現地の収穫体験や飲用の機会を広げ、学びと交流を育てる。イベント提供や土産品化を足がかりに品質を磨き、最終的には全国への展開を視野に入れる。

沖縄産のコーヒー豆も展示
沖縄産のコーヒー豆も展示

10月19日まで開催中の「ネスカフェ 原宿」での「めんそーれ原宿!」企画では、沖縄県産コーヒーや産地直送メニューの提供に加え、週末にはトークイベントや焙煎体験などを実施。来場者は試飲を楽しみつつ、農家の声やプロジェクトの歩みを知ることができる仕掛けになっている。

会場で楽しめることのできるスイーツと沖縄産のコーヒー(数量限定)
会場で楽しめることのできるスイーツと沖縄産のコーヒー(数量限定)

【めんそーれ原宿!沖縄コーヒーフェス supported by NESCAFĒ」】

▽期間:2025年9月25日(木)から10月19日(日)
▽場所:東京都渋谷区神宮前 1 丁目 22-8 ネスカフェ 原宿
▽営業時間:11:00から20:00(最終受付、フード・ドリンクラストオーダー19:00)
▽内容:沖縄でコーヒー栽培に従事する皆様の写真を展示、沖縄県産のコーヒーや黒糖を使用した“産地直送”メニューの提供のほか、10月の週末に3週連続でスペシャルイベント(髙原直泰氏トークショーやHYの親子ワークショップ、又吉コーヒー園による沖縄県産コーヒーの焙煎体験)を開催。

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食品産業新聞

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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
ブランケット版 8~16ページ
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