10月20日の“リサイクルの日”の前に「外でもきれいな分別」を広げる動き、稲垣さん・草彅さん・香取さんが呼びかけ、渋谷で体験展示も

「♯素晴らしい過去になろう」渋谷センター街の大型広告
「♯素晴らしい過去になろう」渋谷センター街の大型広告

◆清涼飲料団体が最新調査を公表、サントリーとコカ・コーラは啓発施策を展開

ペットボトルを再び新しいペットボトルに戻す“水平リサイクル(ボトルtoボトル)”の普及に向け、清涼飲料業界で消費者行動を変える取り組みが広がっている。

業界団体の全国清涼飲料連合会(全清飲)は10月15日、清涼飲料のペットボトルのリサイクルに関する最新の消費者意識調査を発表。家庭では分別意識が高い一方、外出先では十分に実践されていない現状を明らかにした。

同日、サントリーは稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんを起用した新動画を公開し、「外でもきれいな分別」を呼びかけた。さらに日本コカ・コーラも10月17日から東京・渋谷で体験型イベントを開催し、分別行動を訴求する。

◆屋外での分別率3割にとどまる

全清飲が実施した調査によると、家庭内でのペットボトル分別率は8割を超える一方、屋外では約3割にとどまった。理由として「分別できる場所が少ない」「ラベルやキャップを外すのが面倒」などが挙がり、利便性と意識の両面で課題が残ることが分かった。

同連合会は、飲料メーカーや自治体と連携し、屋外の回収インフラ整備や啓発活動を一層強化する方針を示している。

日本においては、ペットボトルは9割以上が回収され、そのほとんどがリサイクルされており、既にごみではなく資源として活用されている。

水平リサイクル(ボトルtoボトル)率も年々高まっており現在3割を超えるまでの水準に達しているが、資源循環と脱炭素の両面で社会的意義のある、この水平リサイクルをさらに推進していくためには、屋外で回収するペットボトル資源の質を高めていく必要があるのだ。

◆サントリー、新動画で全国へ発信

WEB動画のカットデータ、#素晴らしい過去になろう “外でも戻してくれたあなたに、ありがとう。” 循環型ドラマ「勇気が出ない男」篇
WEB動画のカットデータ、#素晴らしい過去になろう “外でも戻してくれたあなたに、ありがとう。” 循環型ドラマ「勇気が出ない男」篇

サントリーは、10月20日の「リサイクルの日」に向けて、「はずして、はがして、外でも戻してくれたあなたに、ありがとう」をテーマにした新動画を公開した。「#素晴らしい過去になろう」シリーズの最新作として制作され、街中で分別に協力する人々に感謝を伝える内容だ。

動画には稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんが出演。公開に合わせて、「外でも、はずす!はがす!」というメッセージを、渋谷センター街で大型広告(10月16日~29日)をはじめ、渋谷エリアでは10月16日~11月15日に特別ラッピングカーが走行し、SNSも同時展開される。SNS上では早くもファンの投稿が相次いでいる。

サントリー食品は、2025年9月に100%リサイクルペットボトルの販売本数が累計200億本(2025年8月末時点)を突破したことを発表した。ペットボトルから再びペットボトルをつくる水平リサイクルによって、累計200億本分の再生ボトルを実現した節目となる。

同社の年間で使用する飲料用ペットボトルはすでに半数以上をリサイクル素材でまかなう水準に達しており、資源循環と脱炭素社会の実現に向け、2030年までにすべてのペットボトルをリサイクル素材、または植物由来素材等に切り替えることを目指している。

担当者は「家庭で定着している分別行動を、外出先でも自然とやっていただけるきっかけになれば嬉しいです」と話している。

◆コカ・コーラ、渋谷で体験展示を開催

「崩壊リサイクルボックスをなくそう展」を渋谷で開催
「崩壊リサイクルボックスをなくそう展」を渋谷で開催

一方、日本コカ・コーラは、10月17日~19日、生活者にリサイクルボックスの適切な使い方と PETボトルの分別を啓発するイベント「崩壊リサイクルボックスをなくそう展」を渋谷道玄坂広場で開催する。

同展では、飲み残しや異物の混入により、リサイクルボックスが本来の機能を失った状態を「崩壊リサイクルボックス」と名付けている。リサイクルボックスはごみ箱ではなく、飲料容器専用であることを改めて理解してもらい、見過ごされがちな小さなポイ捨てが、実はリサイクルの妨げとなり、「崩壊」のきっかけになることに気づいてもらうことを目指す。「崩壊」がどのように発生するのかを紹介する動画も放映する。

◆業界横断で行動定着を後押し

飲料各社の取り組みはいずれも、外出先での分別行動を定着させる点で共通する。全清飲は「生活者・事業者・自治体が協力し、きれいな分別の輪を広げたい」としており、業界横断での発信が加速している。

飲み終えたペットボトルは、外出先では「飲み切って」「キャップとラベルを外して」「リサイクルボックスなどの空容器回収ボックスに戻す」。この3ステップの徹底が“ボトルtoボトル”水平リサイクルの循環を支える。

10月20日の「リサイクルの日」を機に、こうした日常の行動が全国に広がるかが注目される。

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食品産業新聞

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食品・食料に関する事件、事故が発生するたびに、消費者の食品及び食品業界に対する安心・安全への関心が高っています。また、日本の人口減少が現実のものとなる一方、食品企業や食料制度のグローバル化は急ピッチで進んでいます。さらに環境問題は食料の生産、流通、加工、消費に密接に関連していくことでしょう。食品産業新聞ではこうした日々変化する食品業界の動きや、業界が直面する問題をタイムリーに取り上げ、詳細に報道するとともに、解説、提言を行っております。

創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
ブランケット版 8~16ページ
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