農水省、計画認定制度を10月1日から開始、「フードGメン」発足 価格交渉など実態調査

農水省では、食料システム法に基づく、食品事業者の持続的な食料供給に寄与する取り組みを認定する、計画認定制度の運用を10月1日から開始した。同制度を通じて、食品産業と農林漁業者の連携強化を推進するとしている。

食料システム法は、食品の原材料費や農業資材費などが高止まりし、食料の持続的供給が困難となる懸念を背景に、食料安全保障の確保を図る観点から、今年6月成立したもの。同法は、来年4月スタートする合理的な費用を考慮した価格形成に関する施策と、今回の計画認定制度による食品産業の持続的発展に向けた施策の2本柱となっている。

計画認定制度は、食品製造業者、食品卸売業者、食品小売業者、外食業者が対象で、次の4つの取り組みを行う計画が認定対象となる。

〈1〉生産者との安定的な取引関係の確立(新たな産地との原料調達に関する契約、農林漁業者への出資など)
〈2〉流通の合理化(労働生産性向上のための設備導入、新規開拓のための新事業所の整備など)
〈3〉環境負荷の低減(製造過程の食品ロス削減、食品廃棄物の利活用など)
〈4〉消費者に選ばれるための情報提供(製品のサステナビリティ情報の発信、食品のコスト構造の見える化など)。

さらに、これらの取り組みのための技術研究開発や事業再編も認定の対象になるとしている。

認定を受けると、日本政策金融公庫による長期低利融資、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究所による設備などの供用、食品等持続的供給促進機構による債務保証、中小企業経営強化税制などの税制特例といった支援を受けることができる。問い合わせは、同省新事業・食品産業部食料システム連携推進室まで。

同省ではあわせて、合理的な費用を考慮した価格形成について、その施行に先立ち、各地方農政局などに「フードGメン」を10月1日に配置し、価格交渉の状況などを把握するための取引実態調査を実施するとしている。

「フードGメン」は、食料の取引条件は最終的に当事者間で決定されることを大原則とした上で、適切な協議の実施を担保し、同法の適正な執行を行うために発足したもの。食品などの取引実態を把握するための情報収集、来年4月以降の同法に基づく指導・助言、勧告・公表の措置をおこなう。また、不公正な取引方法に該当する行為が確認された場合には、公正取引委員会への通知・情報提供を行うとしている。

なお同省HPには情報受付窓口を設置しており、取引条件や商慣習に関して、事業者から広く情報を受け付け、必要な対応を行うとしている。

〈食品産業新聞 2025年10月6日付〉

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