少子化でも学校給食市場は拡大 公立中学校の完全給食化が追い風、安田物産も供給強化

安田物産の安田幹仁社長
安田物産の安田幹仁社長

少子化で児童・生徒数が減少傾向にある。総務省の調査によると、今年4月時点で15歳未満の子どもの推計人口は、前年より36万人少ない1329万人で、1982年から45年連続の減少となった。児童・生徒数が減ると当然、学校給食を食べる人の数も減少するはずだが、逆に、食数を増やし、堅実に売上を拡大している給食会社がある。

それは、神奈川県を中心に学校給食調理業務を受託している安田物産だ。

同社はここ20年間、幼児・学校給食を中心にコロナ初年度を除き毎年売上を更新している。少子化にもかかわらず、売上はなぜ拡大しているのか。

5月に椿山荘で開かれた講演会で、同社の安田幹仁社長は、小中学校や保育園の給食を中心に毎日5~6万食を提供するリアルな給食の現在について説明した。

安田社長は「中学校給食のマーケット拡大で学校給食全体が底上げしている」と理由を話す。横浜市では、10年前は希望給食だったため、約8万人の中学生のうち4,000人程度しか給食を食べていなかったが、2026年4月から公立中学校全校で完全給食がスタート。その追い風を受け、食数が急増した。

同社は横浜市都筑区に横浜市中学校給食向けの給食食品工場を建設。市内20校の公立中学校に約15,000食の給食を提供。併設しているアレルギー食専門の別棟工場では、特定原材料9品目に対応したアレルギー代替食を製造し、市内87校に約1,300食提供しているという。

安田社長は「これはかなりの伸びだと思う。こうした流れに乗っかっていくと幼児・学校給食中心の給食産業でも売上が上がる」と説明した。

また、横浜市の中学校で完全給食となったのは公立のみで、私立で給食を導入している学校はわずかであることを指摘。「やはり同じ年齢で給食を食べられる子どもがいる一方で、食べられない子どもがいるのは良い状況とは言えないのではないか」と述べ、私立中学校にも積極的に提案する考えを示した。

さらに、2024年に川崎市、2025年に横浜市が夏休み期間に学童への給食を開始したことにふれて「学校給食を事業にやっているところは、夏休みが売上0になる。そうした状況にもやっとチャンスが回ってきた」と話し、「当社は弁当給食をやっているので弁当を運ぶ車両をそもそも保有している。学童への給食提供は今後も増えることが大いに考えられ、新たな自治体の需要にも応えたい」と意欲を示した。

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