松屋、外交メニューの新作「ジャークチキン」発売 ジャマイカ大使館が味を確認して開発

牛丼チェーン「松屋」は9月16日、海外の料理を期間限定で販売する『外交メニュー』の新作として、ジャマイカ編「ジャークチキン」(税込890円)を発売する。
ジャマイカとの取り組みは今回が初めてで、メニュー開発に際し、ジャマイカ大使館が味の確認などを行った。7月に約50店舗で行ったテスト販売を経て、全国販売に至った。今回は4週間程度の販売を予定している。

〈本格的な味わいを通じて両国の絆を深める〉
「松屋」を展開する松屋フーズは9月10日に、東京都武蔵野市の本社で「松屋の外交メニュージャマイカ編『ジャークチキン』試食・取材会」を開催した。試食・取材会ではジャマイカ特命全権大使ショーナ-ケイM.リチャーズ閣下が登壇し、商品の開発背景や日本とジャマイカの交流について語った。

「ジャークチキン」は、スパイスとハーブを効かせたジャマイカ発祥のグリルチキン。本場では屋台料理として人気があり、家庭でも広く作られている。「ジャーク」とは調理方法のことで、スパイス、ハーブ、にんにくなどに漬け込んだ肉を焼くことを指す。ジャマイカでは「ジャークポーク」なども食べられているという。
〈松屋ジャークチキンの特徴〉
今回、松屋で販売する「ジャークチキン」は、ご飯とサラダ、ポテトがついたワンプレート。開発担当者によれば、ジャークチキンの味の要となるオールスパイスの配合にこだわったという。シナモン・クローブ・ナツメグを合わせたような独特の香りが特徴だ。ジャークチキンの上には、玉ねぎソースをかけており、ご飯に合う一皿となっている。
◆ジャークチキン 価格:890円(税込)

チキン、ご飯、サラダ、ポテトをワンプレートで提供。みそ汁付(持ち帰りの場合は別途料金が必要)。
松屋フーズは秋のスポーツシーズンに向けたスタミナ補給や、観戦気分を盛り上げる“応援めし”として企画し、開発期間には1年ほど要した。ジャマイカ大使館の協力を得ることで、本格的な味わいの再現と、食を通じて両国の絆を深めることを目指したという。
松屋の「ジャークチキン」を試食したリチャーズ大使は、「本場のジャークチキンの焼目と同じような仕上がり」「スパイスが完璧で、食欲がわく味わい」「ジャマイカ人もお米はよく食べるが、松屋のお米はおいしい」などと感想を述べた。ジャマイカではジャークチキンはライス、あげパン、芋、豆入りご飯などと一緒に食べることが多いという。

また、リチャーズ大使は「ジャークチキンはジャマイカの精神や文化そのもの」だと話した。「ジャーク」は、奴隷制度に抵抗した逃亡奴隷「マルーン」によって開発されたことに端を発する伝統的な料理法だとする。
「松屋で販売するこの素晴らしい取り組みは、単に新しいメニューというだけではなく、日本とジャマイカの新たな交流となる。松屋は本場の味を尊重しながら、日本人の口に合うように作ってくれた。ジャークチキンはジャマイカの文化で、それが日本の文化である味噌汁と共に提供されることがうれしい」(リチャーズ大使)。

松屋はこれまで、外交メニューとして、各国の大使館とコラボした商品を展開し、好評を博してきた。ベトナムの「コムタム風ポークライス」や、スリランカの「デビルチキン」、セネガルの「マフェ」など。
松屋フーズ販売促進企画部の邑山由生人副部長は、松屋が外交メニューに取り組む理由は、松屋の「みんなの食卓でありたい」という理念にあると話した。世界中のおいしい料理を見つけたら、試作を繰り返してご飯に合うように開発し、できたらすぐに販売しているという。

食を通じ、異国の文化や歴史を知るきっかけにもなる松屋の「外交メニュー」。今後はどの国の料理が登場するのか注目したい。