家庭用冷食市場で米飯商品の新値が定着、焼餃子は伸長/2019年4~6月POSデータから

本紙「酒類飲料日報」で参照しているKSP-SP社のKSP-POSによれば、2019年4~6月の家庭用冷食市場は前年比1.0%減とマイナスとなった。

同データは、全国のスーパー・生協150チェーン990店舗のPOSデータを集計したものだ。一方、ある大手メーカーのプレゼン資料によれば、インテージ社のSRI(全国小売店パネル調査)のデータでは、家庭用冷食市場は3%増と堅調だ。こちらはDgS(ドラッグストア)、DS(ディスカウントストア)、CVS(コンビニエンスストア)を含む全国約4,000店舗のPOSデータを参照している。

両データの直接な比較はできないだろうが、冷食売上が伸長していると見られるDgS、DSやCVSを含めてみると、足元の家庭用冷食市場は堅調なようだ。複数のメーカー、卸関係者からも、市場は堅調だという話を聞く。

KSP-POSのデータから、4~6月の市場動向の特徴に注目してみたい。まずは、3月以降、幾つかのメーカーで家庭用米飯商品の値上げがあった。前年同期との価格を比較すると、ニチレイフーズ「本格炒め炒飯」は、19年4~6月の平均価格が277.91円で、前年同期の260.04円から6.9%価格が上昇していた。また、マルハニチロの「あおり炒めの焼豚炒飯」も、19年4~6月の平均価格が278.3円、前年同期が260.71円で、6.7%価格が上昇していた。これらから、値上げ以降、早期に新値は定着しているようだ。

上のグラフは、冷凍米飯全体およびニチレイフーズ、マルハニチロの米飯全体の平均価格の推移を示したものだ。これを見ると、3月1日を含む9週、または10週以降、平均価格が上昇し、その後ほぼ定着しているのが分かる。なお、マルハニチロの平均価格が31週目以降低下しているのは、8月1日に新機軸の個食米飯「WILDish」シリーズを発売しており、小容量のため価格も低いことが要因と見られる。

もう一つ特徴的な点は、「焼餃子」カテゴリーの好調だ。KSP-POSで4~6月の1店舗当たりの売上高を見ると、味の素冷凍食品「ギョーザ」は前年比12.6%増、イートアンド「羽根つき餃子」は前年比8.4%増と伸長し、市場シェアの高い両品を合計すると、前年比11.3%増と2ケタ伸びている。前述の通り、KSP-POSは実際の市場より低めの値が出るケースが多いことを考えると、大きな伸びだと言えるだろう。実際、両社担当者とも餃子の販売が好調だとしている。なお、1店舗当たりの売上高で比較したのは、両品とも前年同期から商品切替があり、全店舗で比較すると店舗数が揃わないためだ。

まもなく消費税増税と軽減税率の導入を控え、市場動向が読みづらくなっているところではあるが、冷食市場が引き続き堅調に推移することを願いたい。

〈冷食日報 2019年9月9日付〉