日本アクセス デリカ市場強化へ行事を創り売場活性化、新たにスイーツ提案も/古澤慎介業務用・デリカMD部長インタビュー〈大手卸の業務用事業〉

日本アクセス 古澤部長
――コロナ禍以降ここまでの食品スーパーのデリカ市場について

コロナ禍の影響で買い物行動に変化が起きた。当初は感染症拡大防止の観点から、行政が買い物を週3回程度にするよう呼びかけ、買い物頻度が減少するとともに、巣ごもり・在宅勤務等の影響で買い物時間帯も昼・夕方中心から午前中の早い時間や14〜15時などに分散するようになった。一方で、ニューノーマルの生活に皆さんが慣れてきている。それまでスーパーのデリカ売場では昼前の11時と夕方17時前に向けて売り場を作っていたが、開店から夕方まで、凹凸なく売り場を作れるような提案をしている。

商品面では、ご存知の通り感染症予防の観点からバラ売りが難しくなり、パック売りに移行する中で、お店も消費者もそれに慣れておらず当初は数字を落とした面があった。一方、日本アクセスで言えば弁当など得意分野の商品は、外食のテークアウトとの競合もありながらも売れており、良いものを的確に提案できれば売れると捉えている。

――2020年度のデリカ部門業績は

コンビニエンスストアが苦戦したこともあり中食全体では91.5%と苦戦したが、食品スーパーのデリカ単体では104.2%と堅調だった。2020年4〜5月は前年割れだったが、6月以降パック売りの提案を強化したことなどから取り戻した。地域別では売上構成比が高い関東・近畿など大都市圏は100%強だったが、他のエリアでは2ケタ伸長したところもあり全体を押し上げた。

――日本アクセスのデリカ部門の強みは

全国の営業連携による迅速な情報共有と、それを売り場展開する“オール日本アクセス”での取り組みが強みだと考えている。特に2020年来、オンライン会議の活用が進み、毎日のように全国各エリアと話ができるようになっている。常にどこで何が売れているかといった情報をキャッチし、その情報が活きているうちに他のエリアに展開することができる。現地に出向かなくても、映像を含めて売れ筋を確認できるとともに、他の業務を離れることなく会議に参加できるようになり、コロナ禍でかえって全国連携の仕組みが強くなった。

――2021年度の重点方針・注力施策について

4月より業務用・デリカMD部は生鮮・デリカ管掌からデリカ管掌の傘下となった。2020年までは生鮮のことも考えながらだったが、2021年度はよりデリカに特化した部隊として活動することになった。

そうした中、以前にも申し上げたが、「行事を日本アクセスが創る」をモットーに、行事・催事・新しいカテゴリーを創り、売り場を盛り上げる商品・販促施策を強化している。

具体例を挙げると、日本唐揚協会様との取り組みでは、2021年4月14日に発表された「第12回からあげグランプリ」の「スーパー総菜部門」では、日本アクセスの出向者がいるスーパー2社が金賞に輝き、1社は最高金賞も得た。コロナ禍以降、唐揚げ市場は急成長しており、ゴールデンウィークの販促でも大いに盛り上げることができた。

同様に、日本コナモン協会様との取り組みでは、7〜8月を「焼そば強化月間」と位置づけている。コロナ禍以降、デリカで麺類が伸長傾向にあり、日本アクセスでは各エリアで免疫力をもじった“麺益力”をテーマにしたポスター等を作成し、店頭販促を強化していく。

また、伸長するEC市場への対応としては、日本アクセスが展開する冷凍ミールキット「ストックキッチン」を展開強化するとともに、商品開発面でも一般的な業務用商品より小容量の商品を導入し、コンシューマー市場でより買いやすくなるよう工夫している。

そして、取引先メーカーで組織するアクセス業務用市場開発研究会(AG研)は2021年で10年目を迎え、参加メーカーも169社に至っている。コロナ禍により東京で企画してエリアへ提案するのが難しくなったことから、2020年度からエリアごとでもMD分科会を組織し、各エリアで得意先に提案するように変更して取り組んでいる。

商品面では、コロナ禍以降健康・おつまみ・巣ごもりといったキーワードで対応してきたが、ここへきてスイーツが盛り上がりを見せている。

〈デリカを中核事業に位置づけ、「中食」に横串さし横断的に事業展開〉
一方で、スーパー惣菜の常温帯では「おはぎ」以外では目立ったスイーツが少なく、ベーカリー売場も含めて新しいスイーツを展開していこうと一部で取り組みを始めている。これを全国へと拡げていきたい。

――Webを活用した展示会や商談についての評価と今後

2021年春の総合展示会・春季フードコンベンションはコロナ禍の影響でWeb開催となった。東西で2,300以上のログインがあり、サンプル依頼も多数いただいた。さらにフォローを強めるため、ご希望いただいた得意先には、人数を絞って興味を持っていただいた商品を集めたミニ展示会を開催し、実際の商品導入まで進めることができた。

Web展示会はやり方次第である程度できるという手応えは得たが、誰が、何を、何回見に来たということは分からず、少しもやもやしたところもある。また、特にデリカ部門では調理して試食していただくまでが仕事で、リアル展示会の方がサンプルから商談への流れはスムーズだと思う。コロナ禍の状況によるが、秋季フードコンベンションはぜひリアルで開催し、直接熱量をお伝えしアピールしたい。

一方、オンライン商談については、中四国、九州、東北など遠隔地の得意先とも頻繁にお話しながら、現地営業担当が先方でサンプルを提供し試食していただくなど、従来以上の密接なやりとりができるようにもなっている。

――足元での課題は

前述の通り、さまざまな取り組みはしているものの、お得意先と直接触れ合う商談・展示会は減少している。そうした中で提案や情報共有をいかに円滑に行うかは課題となる。リモート商談を使いながらも、現場によりそった提案がどこまで形にできるか、得意先が考えていること、これからやりたいこと、全国の情報をいかに円滑に共有できるかなど、企画・提案をしっかり得意先に理解していただく体制をより強固にしたい。

――中長期的な方向性は

これからも変化する環境に対応し、新しい売場を作っていくことを各担当者に指示している。また、デリカを中核事業に位置づける中、2021年度からはコンビニエンスストア・食品スーパー・外食を含めた「中食」に横串をさす、横断的な事業展開を強化しようとしており、中期的な目標としては、食品スーパーのデリカで売上高1,000億円、中食事業として4,000億円を目指していく。

〈冷食日報2021年6月16日付〉