マルハニチロ、ロングライフチルド本格展開、ビーフシチューなど7品発売

マルハニチロは今春、賞味期限の長いチルド食品事業の本格展開を始める。4月20日から関東・東北エリアの量販店に向けて「ロングライフチルド」ブランドでビーフシチューやハンバーグなど7品を発売する。初年度売上高18億円を見込む。

ロングライフチルド食品は「おいしさ・簡便性・保存性」を兼ね備えているのが特徴。

フランス最大手のフローリ・ミション社と技術提携して、マルハニチロ独自のロングライフチルド製法を確立した。①購買:原料の調査・選択②製造:徹底した低温保管③殺菌・冷却:殺菌理論(滅菌ではなく危害が発生しない範囲に抑制)と殺菌後すばやく低温保存(10℃以下)する④物流:工場から店頭までの低温管理⑤消費者:急激な温度変化による保存試験法を構築–の5つのプロセス管理によって製造しているという。

これによって保存料を使わずに、素材のもつ彩りや味・風味、食感が出来立てに近い形で提供できる。特に野菜の味わいを引き立たせることができるという。透明の耐熱プラスチック容器入りで、そのまま電子レンジで2~3分加熱調理すれば出来上がる。10℃以下で45日間保存可能と保存性にも優れる。

商品ラインアップはすべて1食入りで、「ビーフシチュー」(225g)、「デミハンバーグ」(220g)、「和風ハンバーグ」(220g)、「ナポリタン」(250g)、「チキンのトマト煮込み」(210g)、「鶏肉と野菜のハーブ焼き」(200g)、「ミートグラタン」(200g)–の7品。専用設備を増設した宇都宮工場で製造している。今後は魚原料を使用した商品も開発したい考えだ。

特に冷食とのすみわけなどは意識していないという。横手貞明専務は「最終的にお客にとって使い勝手の良いものがケースバイケースで選ばれることになる。冷食の技術が一般化しているのに対して、LLCでは使える原料を含め独自のノウハウが生きてくる。ただいずれにしても加工食品の分野は伸びると考えており、缶詰など常温食品を含めていろいろな方面から商品を提供していく。それがメーカーとしての使命だ」と述べた。

オープン価格だが、予想売価は300~400円前後となる見通し。ユニットプライスとしては冷食と同等だという。新しい商品分野のため、店頭での“見せ方”が重要という。量販店の理解を得ながら販売を展開していく方針。

同社によればロングライフチルド市場は13年に750億円を超え、5年後には2,000~3,000億円に伸びると予想されるという。マルハニチロはこの市場でリーダーシップを握っていきたい考えだ。3年以内に売上高50億円を目指す。