ヨークベニマル、新店舗に冷凍供給のドイツパン導入、冷凍惣菜「フローズンデリ」は個食サイズ展開へ

ヨークベニマル(福島県郡山市)はこのほど、茨城県つくば市にsM(食品スーパー)「ヨークベニマル竹園店」を開店した。商圏内に研究者や外国人が多い特殊立地で、目の前で加工するカットフルーツ、工場で焼成冷凍したドイツパンの販売など、新しい取り組みを多数導入した。また、一昨年から一部店舗で実験展開している冷凍惣菜「フローズンデリ」を同店でも導入しているが、今年3月にリニューアルし、量目を減らして価格も抑え、1人用サイズにして購入しやすくすることも明らかにした。

同店はつくばエクスプレス終点のつくば駅から徒歩5分、つくば市の中心に立地する。周辺に西武百貨店とイオンを核にしたsC(ショッピングセンター)、西友を核にしたsC、同市内に11店を構えるカスミ(茨城県つくば市)の旗艦店「フードスクエア学園店」がある競争の激しい地域。

同社の大高善興社長は、「つくばは平均年収600万円で日本一高い。(竹園店の)半径1キロ圏に博士号を持つ研究者が7,300人、外国人が7,800人いる。単身者は50%を超える特殊な立地だ。2年前から店長を中心にプロジェクトチームを立ち上げ、好きなようにやらせた」と話す。青果売場では、対面でカットフルーツやフルーツジュレを作る売場を初めて設けた。「ロス管理など大変だが、敢えて挑戦した」(大高社長)という。

つくばはベーカリーの激戦地で、直営ベーカリー「モンペリエ」では、ドイツパンを導入して差別化する。ただ、店内で焼くのには手間とコストがかかるため、福島県の直営惣菜工場内に設けた冷凍設備で、焼成したドイツパンを冷凍して店舗に納品する。店舗では標準的な設備で解凍するだけで販売できるようにした。

同社は高齢化と人口減少が進む南東北と北関東に店舗展開している。今後、頻繁に買い物に来られない顧客が増えることを想定し、備蓄需要への対応として、1年余り前からオリジナル冷凍食品「フローズンデリ」の開発に着手した。惣菜工場に冷凍設備を導入して、惣菜売場で販売する味と品質にこだわった惣菜の冷凍化を研究している。

現在ラインナップするフローズンデリは丼の具、煮物、ハンバーグ、揚げ物、スープなど約20品で、本体価格198円~398円。「量目が多いので、3月にリニューアルし、量目を減らして価格も抑える。また、居酒屋メニューも新たに追加する」(惣菜子会社・ライフフーズの松崎久美社長)という。

一方で、冷凍設備の導入で、冷凍パンの開発も研究している。「ベーカリーはsMの必須カテゴリーだが、過疎地では維持が難しい。焼成したものを冷凍供給することで、店のオペレーションコストを抑え、ドイツパンなど差別化商品も提供できるようにしたい。ただ、おいしいものの開発が難しく苦労している。将来はフランスパンなどもカットした形で、工場から冷凍供給したい」(松崎社長)と話す。

フローズンデリは供給量が限られるため、扱い店はまだ数店舗のみだが、全店拡大の際には、専用の冷凍工場を立ち上げる計画。「宅配も行い、店で受注して工場から直接出荷する。セブン&アイグループ全体で、今後オムニチャネルを本格化させていくが、当社のオムニチャネルは、フローズンデリの宅配がメインになる」(松崎社長)という。