【冷食卸アンケート調査・上】2014年度冷食売上高、5割以上が増収 次期は値上げ機に収益改善へ

本紙ではこのほど、冷凍食品を取り扱う食品卸を対象に2014年度の業績概況と次年度の見通しについてアンケート調査を行った。集計結果を見ると、回答のあった企業のうち5割以上が冷凍食品の売上高(見込みを含む)について前年実績を上回る結果となった。前年は増収が44%とやや不振だったが、好転した。2ケタ減などの苦戦も少ない。収益面では13年度に、円安と原料相場の上昇によって深刻さが急激に強まったが、今回は底入れ感がある。次期は社会的にも値上げ機運が一気に高まることから、これを収益改善につなげたいところだ。

冷凍食品取り扱い卸売事業者の動向アンケートは今年1月下旬~2月上旬にかけて実施した。

14年度の総売上高と重点施策について聞いたところ、有効回答64社のうち、増収(見込みを含む)となったのは47%の30社。前年(56%)を大幅に下回る結果となった。一方で横ばいは25%(前年19%)となり、前年実績をクリアしたのは71%だった。

前年割れは29%と前年(25%)を上回った。もっとも2ケタ減は見られなかった。消費低迷とはいえ、食品業界の底堅さが見て取れる。

冷凍食品の売上高(グラフ1)に焦点を絞ると、増収となった企業は53%で前年より約10ポイント増加した。もっとも前年並みを加えると、70%で前年を3.3ポイント下回る結果となった。

「7%以上」の大幅増収とした企業は前年と同様1割にとどまった。「4%以上」で見ると32%で前回よりも約5ポイント多かった。前回は「前年並み」が3割を占めたが、今回は17%に減少し、増収・減収が拡大した形だ。(略)

総売上高の伸び率と比較すると、冷食の方が増収割合は9.4ポイント高い。消費税率引き上げ後も、冷食の需要は堅調だったといえる。もっとも減収となったのは冷食のほうが1.4ポイント多かった。

冷食の販売利益を見ると「増益」と回答したのは19社で有効回答66社の29%だった。前年よりも9ポイント増加しているものの、増収が5割を超えているのに比べて苦戦は鮮明だ。一方「減益」は29%で前年より19ポイント縮小した。

利益率で見ると47%が「低下」と答えた。大幅に落ち込んだ前年より16ポイント改善した。一方「上昇」も11%と前年より2ポイント増加。「横ばい」は42%で圧倒的多数となった。とはいえ前年は急激な円安後の値上げ対応に非常に苦慮した年だっただけに、厳しい状況は続いているというべきだろう。

当期の施策について回答を見ると、物流においては「在庫管理・圧縮」「配送ルート見直し」が挙がる。「商品開発」「提案営業の推進」においては消費増税・円安による製品値上げを契機として、各社最大の課題ともいえる「粗利向上」につなげる取り組みが、目立った。

次期は「値上げ対応」がさらに大きな課題あるいは商機と位置付けられているようだ。次期の施策として「値上げ対応」の回答数が増えているとともに、これを粗利改善につなげたい考えも多数示された。

物流コスト上昇への対応も引き続き重要課題としている。

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