【春の家庭用新商品①】新商品は前年並み157品 値上げ環境でリニューアル目立つ

2015年春の家庭用冷凍食品新商品が発売された。当季発売された新商品は157品と前年春並みの商品数となった。2~3月にかけての値上げの交渉と重なる、当季新商品の提案は、例年とは違った意味合いを帯びる。一方で消費行動や小売店頭における販促手法の変化に対応して、消費の二極化や売場の活性化などに対するメーカーの意識も高まっている。当季は大手メーカーのリニューアルが目立ったが、新商品の中でも消費の二極化に果敢に挑戦するもの、多様化するニーズにきめ細かく対応しようとする取り組みなどが見られる。カテゴリー別では原料価格が比較的安定している、米飯類の品ぞろえが充実した。

本紙が集計した家庭用冷食メーカー17社が今春発売した家庭用冷凍食品新商品(リニューアル品を除く)は、前年春(17社合計160品)とほぼ同じ157品だった。前年は農薬混入事件の影響で旧アクリフーズが新商品の発売を見送ったことを勘案すると商品数が多かったとは言えないだろう。これはメーカー各社が今春、出荷価格の改定を行うことも影響している。

当季のリニューアル品は主要10社合計で148品。13年秋から3季ぶりに新商品の品数をリニューアル品が上回った。リニューアル品の数が新商品を上回ったのは主要10社中6社と過半数を占めている。

13年秋は政権交代後の急激な円安進行を受けて、各社とも製品コストの見直しを余儀なくされた。その時のリニューアル品数と今季は同数となる。

メーカー別で新商品の発売が最も多かったのはマルハニチロで23品。前回秋に続いて、最多となった。同社は昨年4月にアクリフーズを吸収合併したことから、家庭用冷食を「あけぼの」と「アクリ」の2ブランドで展開する。新商品の内訳はあけぼの11、アクリ12でともに高水準だ。

食卓向け「おいしいおかず」の「さばの竜田揚げ ゆずおろしだれ」、弁当商品の「とろ~りかにクリームコロッケ」はDHAを豊富に含むことを訴求、「横浜あんかけラーメン」では塩分カット商品を発売するなど、強みを生かした健康訴求商品を提案している。

また新シリーズ「わたしの旅ごはん」では世界の“ブランチメニュー”という新しい切り口でメニュー展開している。

次いで日本製粉が21品。そのうちパスタ類が15品を占める。主力である個食パスタの価格帯別ブランドを再構築し、新たに「プレミアム」の大容量版「プレミアム グランデ」を展開、逆に少な目のこだわりパスタ「ライトミール」も提案して商品構成を緻密化した。

具付き米飯にも引き続き注力したほか、グラタンの新商品も発売。新提案としてパスタとハンバーグをワントレーにした「よくばりプレート」も発売した。(この項つづく)