【北陸特集②】アルビス大森実社長、良質品と地元産にこだわる

アルビス(富山県射水市)は北陸3県に計56店を展開し、年商700億円の北陸最大の地元sM(食品スーパー)。競合はバロー(岐阜)、イオン(千葉)、ユニー(愛知)、平和堂(滋賀)など、いずれも外からの参入組。「競合はPB(プライベートブランド)中心だが、当社は地元商品が多く、それが顧客の支持を集めている」と大森実社長(=写真)は語る。

–14年度は、既存店の改装に力を入れた

当社は皆で成長しようというボランタリーチェーンからスタートしたが、狭い富山では無理が出てきた。加盟店の中には、成長したいところ、もうやめたいところが出てきた。単独で成長することに踏み切り、やめるところは当社が買収した。買収した店舗は古かったり、規模の小さな店舗が多いので、可能ならば標準規模の売場面積500~600坪に建て替えている。リニューアルでは品揃えも変える。メーンは生鮮と惣菜の強化。グロサリーと日配は簡便、健康、個食といった切り口の拡充になる。

–生鮮と惣菜は具体的にどんな強化になるのか

生鮮は良質と地元産にこだわる。肉は和牛になるが、銘柄にこだわると数量が確保できないので、日本中から良質なものを集める。鮮魚は氷見、新湊、魚津など地元漁港からのものをメーンにする。鮮魚は相場の乱高下が激しい。富山は養殖する魚ではなく、獲る魚がメーンなので、値段の差が特に大きい。

ブリは養殖だとキロ1,000円、天然の寒ブリは5倍の5,000円。それが乱高下する。地元には高くても寒ブリが食べたいという顧客がたくさんいる。1切れでも2切れでもというニーズがしっかりある。そういうニーズに、外から来た企業は挑戦せず、値頃の養殖ものしか扱わない。当社はどんなに高くても扱う。今年はかつてないほど漁獲量が少なく高いが、当社でしか扱っていないので、例年より売り上げはいい。

野菜は北陸には加賀野菜があるが、これも高い。しかし、他地域産のものと味が違い、加賀野菜でなければいやだという顧客はたくさんいる。当社はそれを一生懸命売っていく。外から入ってきた企業は、そんな高いものは扱わず、値頃にこだわる。地元にこだわるのが当社の強みだと思う。

惣菜はバラエティ、おいしさの追求。タイムリーに揚げ立て、出来立てを提供する。当社は店内加工が圧倒的に多い。何度かセンターからの供給にトライしたが売れ行きが悪い。店内加工の方が圧倒的に売れる。多少生産性が下がっても、顧客が喜ぶ方を選ぶ。

–出店戦略について

北陸3県で強固なドミナントを形成するまでは、北陸から出るつもりはない。地盤の富山ではドミナント展開をし、富山市、高岡市、射水市といった県央では高いシェアを持つ。昨年人口5万人の氷見市に初出店した。人口が2万人あるところには出店していく。富山も郡部には、出店の余地はまだある。

石川県は金沢に人口が一極集中している。道路網などインフラの整備も進み、住宅地も郊外に広がり、そういったところへ、各社が出店してくるだろう。当社も出店していく。

福井県は3店舗しかない。JAから店舗譲受の話があったが、先方の都合で1月になくなった。店舗を取得できるいい話があったら、また検討したい。

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