【中間流通特集①】中間流通の前期決算、収益バランス崩れる

2014年4月からの消費税引き上げと、円安による原材料高が、大手卸の15年3月期の業績に影響している。「増税後に、業態を超えた小売業間の競争激化と、納価引下げ要請のための見積もり合わせがあった」(大手卸)。14年2、3月に買い置き需要が発生したことの裏に加えて、増税による買い控え、また原材料の高騰に伴うメーカー出荷価格の上昇、物流コストの上昇という3重苦、4重苦が襲っている。「食品中間流通全体として、収益バランスが崩れている」(同)状況だ。

大手卸の直近の決算概況をみると、業績はまだら模様だ。国分の14年12月期は増収増益、また三井食品の15年3月期中間は売上高が9%増と大幅増収となった。伊藤忠食品の15年3月期第3四半期も、売上高は1.0%減と僅かに減収ながら営業利益は4.2%増やした。

一方、最大手の三菱食品の15年3月期第3四半期は売上高が1.4%減、営業利益も12.8%減となった。日本アクセスの同期も売上高は4.3%増だが、営業利益は16.4%減った。加藤産業の14年9月期も営業利益が12.8%増と、軒並み2ケタ減となっている。

食品酒類卸業は、売上高経常利益率1%がひとつの指標とされる。ギリギリのところでの攻防だ。しかし、大手の直近の決算で1%を超えているのは日本アクセスと加藤産業のみだ。

三菱食品は、駆け込み需要の反動減や不採算取引の見直しの影響などから減収。利益面は、売上高の減少や物流費率の上昇などで減益だった。

国分は3年ぶりの増益。強化している低温部門の売上が伸びたほか、缶つまなどオリジナル商品が好調だった。NBとオリジナル商品のバランスをうまくとったことが増益に結び付いた。また、赤字事業の改善・業務集約によるコスト削減などが奏功した。「決して満足ではないが、利益の減少にいささか歯止めがかかった」(國分勘兵衛会長兼社長)。今年は第9次5カ年長計の仕上げの年となる。また来年1月に8つのエリアカンパニーと1つのカテゴリーカンパニー(低温)に集約し、新体制でスタートを切る。

加藤産業は粗利低下と販管費増加が響いた。その要因について「粗利低下は、新規取引先が増えるなかで、粗利確保が十分でなかったことが大きい。販管費は、新たな物流センターの賃借費増加も含めた物流費の高騰につきる」(加藤和弥社長)としている。

三井食品は「消費者は、加工食品から惣菜やチルド・低温・冷凍食品へのシフトがより鮮明となっている」(長原光男社長)として、事業領域を拡大する考え。4月から新中計がスタートする。売上高1兆円に向けた布石の2年間とするとしている。

なお、ランキングのうち、旭食品・カナカン・丸大堀内を合算したトモシアHDは6,000億円規模とみられる。