「需要減は一時的、特性生かし市場変化に適合し続ける」=冷食協伊藤会長

日本冷凍食品協会は27日、都内で「平成27年度通常総会」を開いた(既報)。今年度の事業計画として、引き続きシニア、男性を主な対象として広報・普及活動を展開する方針が示された。また今年3月に策定した「食品防御ガイドライン」への会員各社の理解を深めることもテーマに掲げた。

広報事業では前年に引き続き「ココロにおいしい、冷凍食品」の統一キャッチコピーとロゴを使ったPRを行う。消費者イベントは10月15日に開催する。シニア、男性を中心に招待する考え。このイベントに合わせて地方でのPR活動、メディア露出を図る。

農水省「消費者の部屋」特別展示も10月5日~9日に実施する。

ウェブの活用にも力を入れる。昨年7月に開設した、消費者向けサイト「冷食ONLINE」は更新頻度を高めたニュースサイト型に刷新する。週2~3回更新する。また大手レシピ投稿サイト「クックパッド」上で、冷食アレンジレシピのコンテストを開催する。

学生や消費者、業務用ユーザーを対象にした講習会も数多く積極的に実施する方針だ。

「冷凍食品認定制度」においては、定期検査を原則として年3回実施し、そのうち1回を「食品防御ガイドライン」の解説に充てる。

また今年3月に「食品衛生検査指針」(厚労省監修)が改定されたことから、100工場をめどに微生物検査の実施状況を確認する。

講習会のプログラムには新たに、食品表示基準の周知や異物混入防止に関する講習会を検討する。食品表示基準については、品質・技術部会の下に冷凍食品の表示方法について検討するワーキンググループを設置して取り組む。法規改正に従い、今年度中に認定制度における表示基準を改定する。

なお認定制度は見直しを行い、2017年度から新基準を運用する計画だ。16年度をめどに新基準・要領を公表するとしている。

調査事業としては例年の生産統計などに加え、中食における冷食の可能性やドラッグストアの冷食売場についての実態調査にも取り組みたいとしている。

同協会会長の伊藤雅俊味の素社長は開会にあたって次のように述べた。「冷食業界において、ここ数年順調な伸びを示した需要は昨年、家庭用を中心に減少に転じた。消費増税による消費全般への影響や農薬混入事件、小売のハイ&ロー戦略の転換が総合的に影響したと考えられる。しかしこれらの影響は一時的なものと考えている。シニア層の購買増加や女性の社会進出で“未来の食品”としての冷食には市場拡大の機会のある環境になってきている。近年、客は急速に変化している。食品市場も大きい変化を伴いながら進むだろう。家庭用・業務用という幅広い我々の顧客が生活の変化に伴い未来化する中で、冷凍食品のもつ様々な特徴、つまり品質、栄養、保存性、調理性、家族から個人までの量の適合性、幅広い商品領域、環境適合–などを生かして変化する未来の需要に適合する“未来の食品”であり続けたい」