三井食品の長原社長が退任、新社長に三井物産から藤吉泰晴氏

三井食品は22日の定時株主総会と取締役会で、新社長に藤吉泰晴氏の就任を決めた。長原光男社長は退任し、顧問に就任した。

長原顧問は退任あいさつで「三井物産で食料本部の藤吉氏は最も信頼できる方だった。是非、きてくれと三顧の礼をもって迎えた。私自身は、2011年6月に三井食品社長に就任したが、当時は先輩方の努力で、ようやく業績が立ちあがってきたときで、ある意味でラッキーだった。

私は食品部出身ではないが、12年4月に中計NSP2015を立案し、中長期のビジョンを立てた。卸は、まさに人間装置産業。社員のモチベーションを更に高めて、違ったステージに入ろう、ということだった。8,000億円、あるいは1兆円でもいいが、とにかくやってみよう、と4年間、走り続けてきた。そこそこの数字にまで持ってこられたと思う。2011年3月期の売上は5,251億円だったが、15年3月期は7,537億円に成長した。開発スピードも速まり、需要創造に繋がる商品開発が少しずつ出来てきた。やはり、問屋の基本は、手売りし、得意先・仕入先・消費者に喜んでもらえる提案をすることだと思う。

業界環境で言えば、規模の経済が働きだしてしまい、難しい状況だが、三井物産というバックグラウンドがあり、物産の仕事としても、食品は豊かな暮らしをつくれる、という意味で良い仕事のできる業界だと思っている。どんどん若い人にバトンタッチして、新しい考えでチャレンジしてほしい。藤吉氏は、食糧の経験が長く、安心して私は顧問に退ける。異質化戦略の深堀と売上高1兆円への想いを次の経営陣に託したい」と述べた。

藤吉新社長は就任あいさつで「1兆円という数字もあるが、まずは2年後の8,500億円を目指す。長原顧問は食品以外の部門からみてきて、違う角度からいろんな切り口で手がけた。それが時代の流れに合っていたのだと思う。5,000億円を7,500億円規模に引き上げた。これを引き継いでいく。私は、物産のときは川上を担当していて、穀物の取引や畜産事業を行ってきた。直近の2年間では、食品事業本部長として三井食品とともに歩んできた。

2年間にわたる次期計画NSP2017がスタートしたが、卸は人であり、戦う商人ということでやっていきたい。NSP2015で進めてきた需要創造、異質化戦略を深堀し、“豊かな食のクリエーター”として市場を先取りしていく。環境は、働き方の変化をはじめ意識の変化、世帯構造の変化が激しい。また“食べて健康になる”というように価値観も多様化している。私自身が、消費者の目線に立ち、広くアンテナを張り、需要創造を提案していくことを目指す」と述べた。

【藤吉泰晴代表取締役社長執行役員】(ふじよし・やすはる)1957年2月12日生まれ、東京大学法学部卒業、1981年三井物産入社、98年食料本部飼料畜産部飼料穀物グループ主席、2000年日本ハイポー代表取締役社長、03年食料・リテール本部グローサリーMD部畜産MD室長兼低温食材MD室長、07年同本部食料・リテール業務部人事総務室長、09年同本部飼料畜産部長、11年同本部穀物事業部長、12年食糧本部副本部長、13年執行役員食品事業本部長、15年三井食品顧問。