【大手卸トップインタビュー①】国分・國分勘兵衛会長兼社長、16年新グループ体制がスタート

–昨今の経済環境はいかがですか

アベノミクスで大企業を中心に景況感はよくなってきた。中小零細企業も、多少格差はあるにしても改善している。大企業が下請けする商品やサービスも、これまで価格を絞ってきたものが、コスト上昇分などの値上げを認める、というように変わってきている。利益が、ベースアップ、株の配当、設備投資などに廻らないと、景気回復はない。

逆に人手不足が顕在化している。電気料金・物流費・人件費などのコストアップを小売店・消費者に転嫁していかねばならず、どこかでそれを無理に吸収することがあってはならない。これが今後の経済の好循環の前提といえる。

–2016年から第10次長計が始まります

ビジョンは食のマーケティングカンパニーとして、顧客の真のビジネスニーズに対して主体的に応え続け、顧客満足度NO.1企業になること。そして、国分グループの戦略の大きな柱の一つが「地域密着 全国卸」である。

問屋として食に対するあらゆる分野で、フルライン・フルチャネル・フルファクションで対応していく。

そのなかで、サプライチェーンコンソリデート、つまり最適流通をどう実現するか。例えば、フードサービスの例で言えば、ファストフードチェーンが本部で一括してお酒を仕入れるとなると、誰が各地に散らばる店舗まで配送するのか。ここでは当社が、既存の商流・物流網を活用して、末端の酒屋さんに配達してもらうなどの仕組みをつくることが大きな機能になる。

また、これからは超高齢社会だから、これまで買い物に行っていた方が行けなくなる。そういう方にもニーズにあった商品を、きちんとお届けできる最適流通が重要になってくる。

当社のテーマである「食を通じてこころ豊かなくらしをお届けします」とは何かと考える場合、やはり「選択の自由」というのがひとつ、あげられると思う。大衆が分衆になり、いま個衆になった。ニーズにあった欲しいものを、自分で選択できるような体制をお届けする。そういう仕組みをつくるというのがソリューションビジネスだ。

–長計に向けて社内体制づくりは

グループ卸基盤の再構築による盤石な経営基盤の確立を目的に、全国でグループ企業の統合を進めてきたが、16年1月から、7社のエリアカンパニー(AC)と、2社のカテゴリーカンパニー(CC)、そして本社のヘッドクォーター(HQ)の体制で出発する。AC・CCは、所管エリア、カテゴリーにおける唯一の販売窓口となり、地域に根ざしたマーケティングに加え、他エリアのAC・CCと連携し、全国レベルでの問屋機能を発揮していく。

広域に展開する取引先は、取引先本部所在地のAC・CCが窓口となり、縦軸と横軸をクロスさせた最適な営業ユニットを編成する。

国分(株)は、国分グループ本社(株)と社名変更し、HQとなる。グループ全体の仕入機能を持つと同時に、AC・CC、また他の事業会社を統制・統括・サポートする機能会社となる。今後は、国分グループの事業を行う集合体そのものが国分となる。