家庭用冷凍食品 売り場活性化へ商品の再定義を

▽パスタ刷新・お弁当底上げ

スーパーの店頭に秋冬の冷凍食品新商品が並び始めた。今年は春にメーカー出荷価格が引き上げられ、他方、スーパーでは一昨年来、大幅割引きセールからEDLP化へ転換が進んできたこともあり、販促施策を含めた冷食売場の活性化に工夫が求められている。ムダ買いしない消費傾向は消費増税後にさらに色濃くなっており、選ばれる売場・商品にするため、原点に立ち返って商品価値を再定義する必要に迫られている。今秋の新商品においても、そのような取り組みが目立っている。

冷凍パスタは近年、急速に拡大してきたカテゴリーだが、その伸びも昨年は鈍化した。

これに対して最大手の日清フーズは今秋、「マ・マー弾む生パスタ」を刷新した。日本製粉も「オーマイプレミアム」の定番メニューを刷新、生パスタもブランド統合するなどテコ入れを図っている。また日清食品冷凍では今春の段階ですでに基幹ブランドのリニューアルを終えているところだ。

〝お弁当の底上げ〟にも大手各社が注力している。新カテゴリーの創出を目指して、近年は弁当商品から食卓向けへと開発の重心が移っていたが、昨年秋以降の新商品の動向を見ると明らかに、弁当商品は増加傾向に転じている。

冷食の弁当商品はこれまでの子ども向け利用から、大人の弁当持参傾向に伴い、大人向け利用に拡大している。一方で弁当づくりに冷食を利用している人の割合は7割以上という調査結果もあり、「弁当は冷食のファーストエントリーとして重要」(ニチレイフーズ篠原利和執行役員家庭用事業部長)という。

手作りが減少している現在、食経験の記憶を刻む点では、弁当商品の重要性はむしろ増している。

グラタン・ピザは一昨年末の農薬混入事件で縮小したマーケットだが、従前の明治、マルハニチロ(旧アクリフーズ)の独占からプレーヤーの増加が見られる。

ニチレイフーズはピザ・グラタンとも新機軸の商品を含めた商品展開で取り組みを本格化している。また日清フーズはパスタの切り口からグラタン分野に、日本製粉も高付加価値のグラタンの提案に、それぞれ取り組んでいる状況だ。

その他にも確立した既存カテゴリーを再定義する動きは数多くみられる。

冷凍米飯市場の4割以上を占めるとされる炒飯では、今春ニチレイフーズが主力の「本格炒め炒飯」を刷新した。これに続いて今秋、味の素冷凍食品が「ザ・チャーハン」を発売している。日清食品冷凍もグループのブランドを活用した炒飯の展開を連発している。

冷凍うどんではテーブルマークが基幹商品である「さぬきうどん5食」を刷新した。