【冷凍炒飯特集①】“おにぎり戦争”に続き“炒飯戦争”勃発!

拡大を続ける加工米飯市場。2013年に生産量トータル30万tの大台を突破して以降も、さらに拡大傾向で推移している。構成比の大きな無菌包装米飯と冷凍米飯が2010年以降連続で増加し、市場全体を押し上げている。

順調に成長する冷凍米飯市場で、今秋は「炒飯」が注目を集めそうだ。本稿では冷食有力メーカー各社の「家庭用冷凍炒飯」にスポットを当て、市場動向を探る。

近年、米の消費量は減少傾向にあり、家庭での炊飯機会が減少する一方、加工米飯の生産量が増大している。中でも最も数量が多いのが冷凍米飯だ。

金額ベースで見ても、冷凍米飯市場は14年度、5年前である09年比24%増690億円と拡大している。うち、炒飯は299億円(構成比43%)と、ピラフは217億円(31%)、その他174億円(26%)を大きく上回り、最大市場を構成。直近6年間で炒飯は27%増と大きく伸長している(味の素冷凍食品推計)。

この市場をけん引してきたのは、冷凍炒飯のトップブランドであるニチレイフーズの「本格炒め炒飯」だろう。01年に発売された同品は、それまで炒飯風の味付けをした“中華風混ぜご飯”に過ぎなかった冷凍炒飯の製法に、技術開発により実際に“炒める”工程を導入、パラパラに仕上げることに成功した。パラパラの炒飯は一般家庭で作るのも容易ではないもので、簡便性が強調されることの多い冷凍食品にあっても、“手作りよりもおいしい”というエポックメイキングな商品だったと言えよう。その後、各社それぞれの技術開発、メニュー開発により多様な冷凍炒飯が市場に送り込まれ、前述のように市場が拡大してきたところだ。

そして今春、そのニチレイフーズの「本格炒め炒飯」が、新技術を導入した新生産ラインを活用する新「本格炒め炒飯」にリニューアルされ、地位を盤石にするかに思われたところ、今秋は味の素冷凍食品が「炒飯革命!」と銘打ち展開する大型新商品「ザ・チャーハン」を投入した。

昨年の冷凍米飯市場は、春に有力4社が冷凍おにぎり商品を発売したことで「おにぎり戦争」とも言われた。これにより売場の棚が活性化し、冷凍おにぎり市場は14年3~11月で前年比26.5%増(ニチレイフーズ調べ)と拡大、総市場を引き上げることにつながった。同様に、今秋は冷凍炒飯でCM放映が増えるなど、消費者への露出度も増加することが見込まれる。流通の注目度も非常に高く、冷凍炒飯での棚の活性化が期待される。