シニア・男性の啓発に重点、関係業界一体の事業展開も=冷食協・伊藤会長

<日本冷凍食品協会・伊藤雅俊会長の年頭所感>冷凍食品を取り巻く状況をみますと、穀物等の国際価格は豊作が続いたことから落ち着いた動きで推移していますが、円安の進行等から各種の原料や資材の価格が上昇したほか、物流コストや賃金も上昇しています。このため、冷凍食品企業はコスト上昇に見合った価格転嫁を図ってきました。厳しい競争が続く小売業では、依然としてデフレ圧力が強いものの、価格転嫁は一定程度浸透したものと思われます。

冷凍食品の需要については、内食志向の強まり、各社の積極的な新製品開発などによって近年連続して増加していましたが、一昨年は経済状況等を反映して僅かながら減少しました。昨年は、数量ベースではほぼ横ばい程度で推移したものの、価格改定等によって金額ベースでは増加したものとみられます。

当協会では冷凍食品の優れた特性を啓発するため、冷凍食品を消費者のライフスタイルの変化に柔軟に対応できる「未来の食品」として位置づけ、平成26年度から「ココロにおいしい、冷凍食品」をスローガンとして広報事業を展開しています。

今年も、需要拡大が期待されるシニアや男性に重点を置きつつ、各種媒体などを活用して消費者向けに効率的な事業を展開するとともに、関係業界が一体となった事業展開を図ります。また学校給食、介護・医療施設などの業務用分野での事業拡充にも努めます。

冷凍食品認定制度について、その適切な運用に努め、品質管理担当者の資質向上のための講習を充実させてきましたが、昨年は、特に食品防御ガイドラインの策定とその周知を図りました。今年もこうした方向を継続するとともに、認定基準を改正し平成29年(2017年)度からの施行を予定していますが、中小規模会員にとって過重な負担にならないように配慮します。

制度的課題として、昨年施行された食品表示制度については、会員に対して十分な情報提供を行うとともに、行政に対し実態に見合った現実的な運用を要望します。平成29年4月実施予定の消費税引き上げに際し、当協会では円滑な転嫁が図られるように対応するとともに、軽減税率の問題については、事業者への過大な負担が生じないような仕組みとなるように要望します。

このほかにも様々な課題がありますが、当協会が積極的に対応することで、より活力ある冷凍食品業界の実現に向けて全力を尽くします。会員の皆様におかれてもご協力をお願いします。