【小売インタビュー】イオンリテール・「イオンスタイル」冷食売場構築

<イオンリテール・宇治知英食品商品企画本部デイリー企画部長>

–15年の市販冷食市場と御社の概況

15年の市販冷食市場は前年を上回ったものの、一昨年並までいくかは微妙と見られる。業態別では、GMSは前年割れ、SMが前年並で、CVSは20%増近く伸びた。市場を世代別で見ると、40代が前年割れである一方、50~60代で前年を上回っている。これは、40代でシェアが大きい弁当品が軟調な一方、好調なスナック、おかず、米飯などが50~60代のお客様に浸透していることを反映している。食品市場全体を見ると、健康志向・経済志向・手作り志向が高まり、それにより生鮮食品が好調な一方、市販冷食には若干アゲインストな状況にある。

そうした中でも、当社では前年を上回ることができた。また、後述の取り組みもあり、構成比で弁当品をスナック類が上回った。これにより、単価が上がったが、弁当品は点数が多いので、数量ベースでは前年をわずかに上回る程度だ。

–御社の15年度の取り組み

15年度は5つの取り組みを行った。1つはスナック冷食–米飯、パスタ等の活性化を目指した。米飯は市場も好調、我々も非常に好調で(オリジナルブランドの)「トップバリュ」でも成功事例が出ている。一方パスタはこちらも市場通り、数字がよくなかった。次にワントレー「トップバリュ レディミール」を進化させようと取り組み、現在も丼などを出しているところだ。これは現在進行形で、結論はまだ出ていない。3つ目はメインディッシュの再構築で、弁当ではなく、夕食になるようなものを充実させている。一昨年からチキン関連、昨年下期から魚関連を投入しており、今後も継続して取り組む。4つ目は、朝食、おつまみ、前菜への取り組み。朝食はパンケーキ等でうまくいったが、和風はまだまだで、成功事例とそうでないものがあった。最後に「トップバリュ グリーンアイ」ブランドで展開するオーガニックで、16年度も継続する。

また、アイスクリームを「フローズンデザート」カテゴリーとして売場作りを始めている。これが好調で、大きなプラスとなった。成功事例として挙げられるのが、昨年11月にオープンしたイオンスタイル板橋前野町(東京都)において「カラフル」ブランドで展開した、フルーツをたくさんトッピングしたアイスバーの売場だ。398円と高単価だが非常に好評だ。

–16年度の取り組み

16年度は、次のステップを考えている。現在当社は「イオンスタイル」店舗を拡大しており、冷食に関しても「イオンスタイル」フローズン売場のブランディングをする。商品はもちろん、什器、演出を含めて確立しようとしている。ただ、350店舗一律ではなく、次に挙げる重点ポイントを組み合わせ、各店舗の実情–そのデータ分析はほぼ完了している–に合う350パターンを考えるつもりだ。以前のようないくつかのパターンではカバーできなくなっている。

重点ポイントは5点ある。1つは食卓惣菜の活性化。春に「ワールドダイニング」という名称で、世界各国の料理を本格的な冷食として打ち出す予定だ。

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