6次産業化、冷凍技術の活用に期待 農産素材や農畜産調理品の冷食事業にファンド出資

農林漁業生産と加工・販売の一体化や地域資源を活用した新たな産業の創出を促進するための6次産業化の推進において、農林水産業投資事業有限責任組合(JA・6次化ファンド)の投資案件として冷凍技術を活用した事業体もあらわれている。先ごろ発表があった岩谷産業が農業生産法人と設立した、京野菜を原料にした冷凍野菜の製造・販売会社(既報)もその一つだ。栄養や食感などおいしさを保つ冷凍技術が6次産業化で活躍する場面は、今後も増えそうだ。

全国農業協同組合連合会(JA全農)がJA・6次化ファンドと折半出資(各6,000万円)で2014年7月に設立した、㈱ピュアディッシュ(千葉市)は国産農畜産物を原料として使用し、無添加にこだわって、真空低温調理法を用いて、素材そのもののおいしさを生かした調理品を外食産業向けに製造・販売している。特にジビエ(野生の鳥獣)を活用しているのが特徴だ。

真空低温調理とは食材や調味料を専用の包装フィルムに入れ、真空状態にして100℃以下の低温加熱をする調理法。真空状態にすることで食材の中心部まで調味液が浸み込むため、塩分や糖分を少な目にした調味液でもしっかりした味に仕上がり、また加熱温度が低温のため栄養分の流出や破壊が少ないという。

商品はすべて冷凍食品として流通にのせ、現在JR東日本フードビジネスや生協などとの取引がある。

茨城中央園芸農業協同組合(久信田清人代表理事)と冷凍惣菜販売のヤマダイ食品(三重県四日市市、樋口智一社長)が共同出資して14年11月に設立した、6次産業化事業体「㈱茨城もぎたてファクトリー」(茨城県東茨城郡茨城町)に対しても、6次化ファンドが15年1月に5,000万円の出資を決定した。

–全文は本紙にてお読みいただけます。