大手卸各社、増税影響一巡し増収増益基調、1~3月もたつき懸念も

食品酒類大手卸の16年3月期の四半期ごとの決算状況をみると、増税による反動減の裏にあたるため、上位社は軒並み増収増益基調となっている。ここにきて、組織小売業との取組み強化により売上高を伸ばしている。ただし、販管費が増加して、営業利益を圧迫しているところがほとんどだ。とくに物流費・人件費の高騰に各社、頭を悩ませている。また今年に入って指摘される景気のもたつきも、1~3月期には影響があったとみられ、これから出そろう3月期企業の本決算は現時点よりも収益が悪化する可能性もある。

食品卸売業は、売上高経常利益率1%がひとつの指標とされるなか、15年3月期を中心とする本決算で1%を超えているのは加藤産業のみだ。同社にしても「ここ3年ほど徐々に落としているので、歯止めをかけたい」(加藤和弥社長)。

直近の決算数値を見ると、最大手の三菱食品は増収増益で推移している。16年3月期第3四半期は、売上高が1.4%増、営業利益が24.0%増と大きく伸びた。14年4月からの消費増税に伴う駆け込み需要の反動から、いち早く抜け出したほか、取引先との関係強化が寄与した。うち、酒類事業の売上高は0.8%増、営業利益は販管費削減を進めた結果、76.6%増と大幅増益となった。

日本アクセスの16年3月期第3四半期も、売上高が6.4%増、営業利益が3.2%増と増収増益で推移している。

国分の15年12月期は、売上高が前年比2.2%増だったが、経常利益は13.2%のマイナスとなった。「第9次長計の最終年度で、数字的には及ばなかったが、方向としては手応えを感じた」(國分勘兵衛代表取締役会長兼社長CEO)としており、設備投資が嵩んだことが大きい。第9次長計の投資総額は650億円、特に15年は、基盤再構築の整備と、低温物流システムの全国的構築などで、過去最高の210億円に膨らんだ。

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