1~6月の冷食市場 有力メーカー各社好調 家庭用堅調も業務用変調か?

今期の各社の動向を見ると、1~6月の冷食市場は順調なようだ。本紙の有力メーカー各社への取材等によれば、第1四半期の4~6月、昨春の値上げから一巡している中でも、前年を上回って推移していると答えるメーカーが多数を占めた。収益面では、原料相場そのものは高止まりしているものの、前年と比較して為替が円高に進んだこともあり、国内市場においては増益方向に進んだと見られる。

一方、冷食の国内生産量の指標として、日本冷凍食品協会による認定品数量の推移を5月まで見ると、家庭用は堅調な推移であるものの、業務用は2、3月とマイナス幅が大きく、4月、5月は微減と軟調推移となっている。市場そのものを映す数字とは言い難いものの、少し気になるところである。

川下の状況を見ると、家庭用は、小売店の販売形態変更、すなわち均一割引のいわゆるハイ&ローからEDLPへの変更が大多数の小売企業で一巡。また、原材料高などに伴う価格改定(値上げ)からもすでに一巡したことが、市場の堅調さに繋がっていると見られる。大手メーカーの推計においては、1~6月(もしくは1~5月)で数%増という見方が聞かれる。本紙が参照するPOsデータ(KSP-SP調べ、全国のスーパー約150社923店舗が対象)においても、1~6月は金額ベースで1.6%増と堅調だ。

13年4月の消費者庁の価格表示指導以降、家庭用冷食売場では「全品半額」等の強力なマグネットを失い、「黙っていても売れる」状況がなくなる中で、製配販3層ともに冷食市場では見過ごされてきたMD手法、売場作りが急務という危機感を持ち、さまざまな取り組みがなされてきた。ここへきてそれが実を結んできた結果だと言えるかもしれない。

ただ、中身を見ると、昨年下期以降「炒飯戦争」とも言われるように、冷凍炒飯の市場が活性化され、冷凍米飯が急伸。前述のPOsデータでも、この1~6月は18.4%増と大きく伸び、冷食全体をけん引している。むしろ他のカテゴリーは前年を若干割っているものも見られ、手放しで家庭用冷食市場が堅調とは言えない状況でもある。引き続き消費者を引き付けるMD提案、商品提案により、市場を盛り上げる取り組みが必要だろう。

一方、業務用を見ると、外食市場は、日本フードサービス協会の統計によれば1~6月いずれもプラスで7カ月連続増と堅調だ。だが、昨年絶不調だったハンバーガー業態の復調に引っ張られている部分が大きく、ファミリーレストラン業態が3月に35カ月ぶりにマイナスとなるなど変調が見られる。

また、中食市場にも異変が起きている。日本チェーンストア協会の統計で、惣菜の既存店販売額が6月に34カ月ぶりにマイナスとなった。もっとも、日本スーパーマーケット協会等、スーパー3団体による販売統計では、惣菜の既存店販売額は37カ月連続増を続けている。

業界の決まり文句である「少子高齢化、少人数世帯増、女性の社会進出」による「料理の作らない化」の流れが変わるとは思えないが、外食・中食とも統計上は変調が見られるのも事実である。メーカー幹部からも口々に「デフレ再燃」の声が聞かれ、夏以降の冷食市場の動向は少し不透明になってきている。