既存分野を深堀り成長目指す 冷凍食品の秋冬新商品

◎女性向け水餃子、焼き調理ピザ

家庭用冷凍食品の秋季新商品が市場に出回り始めた。惣菜デリカ市場の拡大や他の簡便商材が増加する中、冷凍食品市場はパスタ・焼きおにぎり・炒飯と牽引役を変えながら着実に市場を拡大させてきた。特に昨年来の冷凍炒飯市場の活性化が業界全体に与えた影響は大きい。定番とされる既存カテゴリーが必ずしも成熟市場ではなく、成長市場である可能性を示したからだ。当季の各メーカーの動向を見ると、新商品ではワインに合うおつまみや減塩など健康訴求の新機軸提案がある一方、水餃子やピザ・グラタンなど既存分野で深掘りへの挑戦が目立った。

「家庭用冷食マーケットは市場形成力を取り戻しつつある。その牽引力は(1~5月)41%伸長している炒飯類だ」(ニチレイフーズ竹永雅彦執行役員)

冷凍炒飯市場は昨年、ニチレイフーズが刷新した「本格炒め炒飯」と味の素冷凍食品が新規投入した「ザ・チャーハン」が起爆剤となり一気に活性化した。16年に入っても米飯分野は3~6月の4カ月連続で10%台前半~後半の2ケタ増(KsP‐sP調べ)と炒飯を牽引役として拡大が続いている。この波に乗り今秋も、マルハニチロが大型商品「炒飯の極み」を600gの大容量で発売した。イートアンドも既存品の600g版を発売。ニチレイフーズは五目炒飯で増量560gキャンペーンを展開している。味の素「ザ・チャーハン」から始まった大容量化の波が広がってきた。

炒飯はテレビCMなど大規模宣伝が噛み合って大きな成果をあげたが、既存の主力分野を刷新する取り組みは近年、うどんやパスタでも各社が注力してきたところだ。ほかにも長年売場を形成してきた商品分野はあり、深掘りの余地がある。当季はその第一に水餃子が挙がる。餃子を主力とする味の素冷凍食品とイートアンドが働く女性をターゲットに、手軽な水餃子商品を発売、ここに日本ハムデリニューズも新規参入した。焼き餃子が広く認知されているだけに期待は大きいが、ハーブの香りやスープで食べるスタイルがどれだけ市場に受け入れられるかが注目される。

冷凍ピザではトップメーカーの明治が従来の電子レンジ調理から方向転換し、オーブン・トースター専用商品「焼きあがりが待ちどおしい」シリーズを発売した。グラタン類も同シリーズで展開し、本格品質を訴える。ライバルのマルハニチロは薄焼き生地の新価値を提案。日本ハムDNも3年ぶりの再参入を果たした。