食品メーカー99社中間期、営業利益率初の5%超

上場食品メーカー99社の中間期決算は大手を中心に海外での販売比率が上昇していることから、上期の円高による為替換算の影響から減収が約半数の45社を数え、単純な売上高合計では8兆3247億円で0・2%減と、10年3月期上期の6・8%減以来のマイナスとなった。一方、利益面では円高が原燃料価格の低下につながり、営業利益で70社、経常利益で64社の増益につながった。売上に対する営業利益率は全社合計で5・04%と本紙が連結中心に統計をまとめた05年3月期中間決算以来、初めて5%を超えた。

本紙は上場企業のうち17年3月期第2四半期決算(一部1月及び2月期)実績を集計した(連結83社、非連結16社、合計99社)。

連結ベース(非連結含む)で見た売上高は増収が50社で前年の88社から38社の大幅減となった。減収も12社から45社へ大幅に増加した。99社の合計売上高は8兆3247億円で前年比0・2%減(比較可能メーカーのみで集計)。なお単純に合計したため、食品以外の分野が含まれるし、一部連結子会社の2重カウントがある。

食品メーカー大手は少子高齢化、人口減社会を背景にアジアなど海外事業へのシフトが進んでいるが、急激な円高によって海外売上の円貨換算が目減りしたことが大きい。上位20社中、12社が減益となった。ただ、海外事業自体は好調な企業が多く、「現地通貨での売上は順調。為替の影響を除けば増収」(味の素など)という企業が多い。

合計売上高が減少したのは10年以来となるが、このときは消費者の節約志向を背景に流通、メーカーとも販売価格の低下傾向が強まったことが大きな要因だ。また米ドルレートは年間で87円と前年比6円程度円高に振れたが、現在ほど海外比率は高くなかった。

通期売上予想の合計は17兆9933億円で0・9%増。下期は回復傾向と予想されているが、為替相場を100円程度とみているメーカーが多く、トランプ氏の米大統領選挙勝利以降の円安は想定外か。通期の売上高はある程度の増加が予想される。

一方、利益面は前年に続き大きく改善している。営業利益増益は70社で前年の67社に比べ3社増。減益は18社にとどまった。赤字企業は7社と2社減少した。経常増益は64社を数える。

前年までのドルに対する円安(年間平均121円)から一時100円近くまで上昇、上期平均でも105円台であるため、小麦など輸入農産物原料の国内価格が低下したこと、農産物原料の国際相場及び原油などエネルギー価格も落ち着いていることなどで、コスト低減につながったようだ。

全社平均の対売上高営業利益率(営業赤字もマイナスでカウント)は5・04%と0・72P上昇した。15年まで3%台で推移していたが、この2年で一挙に1・5P程度上昇した。本紙が連結中心に統計をまとめた05年3月期中間決算以来、初めて5%を超えた。一般的には製造業の営業利益率は5%が適正水準といわれており、ほぼ近い水準となった。売上トップ20のそれは5・13%で規模による差は若干あるようだ。

業種別に見ていく。製粉・小麦粉関係の10社合計売上高は0・7%増。期中の値下げの影響もある。食用油7社の合計売上高は0・1%増。しかし営業利益率は6・4%に上昇。

調味料は最大手の味の素が為替の影響で2ケタの減収、キッコーマンも同じく減収となったことから、合計売上は3・8%減。しかし営業利益率は7・0%と高い。畜産10社は減収企業が多く、合計売上は0・6%減。ただ営業利益率は3・21%と改善した。

菓子は大手を中心に堅調な売上を確保、合計売上高は4・2%増、営業利益率も7・97%と高水準。