伊藤忠食品「凍眠市場」テクニカンと共同展開、鮮度を維持し、豊かな食生活と生産者支援を

伊藤忠食品「凍眠市場」商品展示例
伊藤忠食品「凍眠市場」商品展示例

伊藤忠食品は2019年にリキッドフリーザー方式凍結機「凍眠」の製造・販売を行うテクニカンと業務提携を行い、共同で立ち上げたブランド「凍眠市場」を展開している。

「凍眠市場」のコンセプトは、高機能な凍結により、これまで“産地”や“旬の時期“でしか食べられなかった味を家庭に届け、より豊かな食生活を実現すること。産地での凍結により、商品のロスをなくし、生産者の利益確保に結びつく生産者支援の側面も併せもつ。「凍眠市場」は、素材の価値に「凍眠」凍結の価値をプラスしたブランドとして現在認知向上に取り組んでいる。

「凍眠市場」ロゴマーク
「凍眠市場」ロゴマーク

生鮮品は冷蔵での保存期間に限りがあり、販売動向を見て一部を凍結しても、例外はあるものの凍結品はより低価格となってしまう。一方で「凍眠市場」は高度な凍結技術により、素材のとれたての鮮度や味を維持・再現でき、付加価値の高い商品として販売することが可能となる。

テクニカン社のリキッドフリーザー方式は短時間で凍結することで、氷結晶が大きくならず細胞を傷つけることがない。そのため鮮魚や畜肉の解凍時のドリップを大幅に減らすことができ、更に従来の凍結と比べ解凍時間も大きく短縮される。

コロナ禍の巣ごもり需要の影響などもあり、保存期間が長い冷凍食品への需要は高まっている。店頭でロスにならない利点もあり、百貨店やSМ、GМSでの冷凍食品売場は拡大している。「凍眠市場」はこうした中で、高品質な商品を取り揃え、販売を伸ばしている。

「凍眠市場」は、高品質が特徴であるため、購入後のリピーターは得られるものの、初回購入へのハードルは高い。このため、「凍眠市場」が従来の凍結品と比べ高品質であるという認知を広めることが目下の課題となっている。

凍結品であることから、見た目の“シズル感”などで購買意欲をそそることは難しく、その価値が最も伝わりやすい試食も、まだ店頭で気軽に実施できる状況ではない。現在伊藤忠食品ではデジタルサイネージなども活用しながら、「凍眠市場」の売場を活性化させることでブランドイメージの構築を図っている。

“「凍眠市場」=高品質・美味しい”といったイメージが浸透し販売を伸ばしていけば、コロナ禍やコスト高の中、苦境に立たされた多様な生産者の収入増にもつながっていくだろう。

〈「生産地のものを一番おいしく流通させることが我々の使命」〉

伊藤忠食品がテクニカンと協業し「凍眠市場」を展開するに至った背景には、自然災害やコロナ禍など様々な苦境に陥っている生産者への支援や国内の自給率向上といった課題があるという。

そうした中で、伊藤忠食品は「生産地のものを一番おいしく流通させることが我々の使命」と考えた。そのためには、生鮮品の鮮度を維持することが重要で、手段を模索している中で液体凍結に出会い、テクニカンとの協業に至った。そして液体凍結のパイオニアであり技術を持つテクニカンと、食品流通を担う伊藤忠食品が共に「凍眠」の認知拡大を目指し誕生したのが「凍眠市場」だ。

「凍眠市場」は、こうした経緯で立ち上がり、当初の課題意識からサステナブルな商品を提供している。「凍眠市場」は、中小メーカーや生産者がテクニカン社のリキッドフリーザー「凍眠」で商品を凍結し、「凍眠市場」の目印をつけ、伊藤忠食品が流通を担う。「凍眠市場の目印で選んでもらえるブランドにしたい」(担当者)という。

〈冷食日報2022年11月11日付〉

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近年の冷凍食品をめぐる情勢は、共働き世帯の増加や家族構成の変化、また飲食店や量販店の惣菜売場の多様化によって需要が増加しています。一方で、家庭用冷凍食品の大幅値引セールの常態化はもとより、原料の安定的調達や商品の安全管理、環境問題への対応など課題は少なくありません。冷食日報ではこうした業界をめぐるメーカー、卸、そして量販店、外食・中食といった冷凍食品ユーザーの毎日の動きを分かりやすくお伝えします。

創刊:
昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
体裁:
A4判 7~11ページ
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