2022年「ユニバーサルデザインフード」生産統計は数量・金額とも減少、とろみ食品半減が響く、冷凍タイプは数量・金額とも2ケタ増/日本介護食品協議会

ユニバーサルデザインフードが陳列された棚
ユニバーサルデザインフードが陳列された棚

日本介護食品協議会が6月1日に発表した、2022年(暦年)のUDF(ユニバーサルデザインフード)生産量は前年比4.5%減7万3,943トン、生産額は3.2%減507億1,800万円とそれぞれ前年を下回った。製品登録数は5月末現在、前年比10品増の2,224品目だった。同協議会が会員企業91社を対象に集計した。

ユニバーサルデザインフード 2022年生産量・金額前年対比
ユニバーサルデザインフード 2022年生産量・金額前年対比

区分別集計の全体(市販用・業務用合計)では、「容易にかめる(区分1)」が前年比で生産量8.6%減の4万8,838トン、生産額3.7%増の232億9,500万円、「歯ぐきでつぶせる(区分2)」が生産量20.1%増の6,472トン、生産額12.2%増の49億0,200万円、「舌でつぶせる(区分3)」が生産量6.8%増の9,972トン、生産額11.0%増の113億5,500万円、「かまなくてよい(区分4)」が生産量25.6%増の6,600トン、生産額15.4%増の65億0,200万円。「とろみ調整食品」が生産量49.2%減の2,061トン、生産額52.0%減の46億6,400万円だった。

日本介護食品協議会によれば、UDFの4区分のうち、「容易にかめる(区分1)」の生産量が減少となったが、これはその他常温品の一部市販品の価格改定による売り上げ数の減少が影響したため。市販用のレトルトタイプ、業務用の冷凍タイプでは、数量、金額とも伸びがみられたが、区分1の金額増には業務用冷食の伸びが貢献したという。

「歯ぐきでつぶせる(区分2)」については、市販用は前年並みだったが、業務用の冷凍タイプの伸びが高かったことが同区分全体をけん引した。2021年は終売品(業務用)が重なったことから一時的な前年割れとなったが、2022年は順調に回復した。

「舌でつぶせる(区分3)」では、市販用のレトルトタイプ、業務用の冷凍タイプとも好調で、数量、金額とも増加した。

「かまなくてよい(区分4)」についても市販用、業務用ともに引き続き好調に推移した。近年、同区分の市販用は順調に数量を伸ばしているという。業務用では最も数量の少ない区分であるが、今回集計では冷凍食品製品の伸び率が高かった。同区分については、在宅でのミキサーやペースト食の調理負担軽減の観点から積極的なリピートがあったものとみられる。業務用での増加はムース、ゼリー類などの取り扱い増とみられるとしている。

一方、「とろみ調整食品」については半減となったが、これは特別用途食品(消費者庁)の「とろみ調整用食品」制度を取得した製品が急増したことに起因している。同制度を取得した製品は、これまでつけていたUDFマークを削除した製品が多かったが、これは市販用に顕著な傾向として現れたという。特別用途食品の取得により製品の用途を「嚥下困難者向け」と明確に表示できることから、在宅への用途の啓発に有効として各社が一斉に取得に向かったものとみられる。業務用も減少したが、業務用ではあえて同制度を取得せずとも用途がはっきりしていることから、市販用ほどの減少にはならなかったとみられる。

タイプ別では、「乾燥タイプ」(とろみ調整食品やアルファ化米、加水して成型する粉末製品を含む)が前年比で生産量46.6%減の2,227トン・生産額48.4%減の52億2,200万円と半減したが、これは先述の通りとろみ調整食品の減少を受けたもの。その他の乾燥製品については増加した。「冷凍タイプ」は生産量19.0%増の1万9,405トン・生産額14.5%増の175億3,300万円、「常温タイプ」は、生産量8.2%の減5万2,311トン・生産額3.6%増の279億6,400万円だった。

冷凍タイプは数量、金額とも2ケタ増だが、これらはほぼ業務用製品で、施設や病院給食の需要が好調だったと見られる。「常温タイプ」では、レトルトタイプは好調で、数量の減少はその他常温タイプに起因している。

販売先別では、常温品が中心の市販用は前年比で生産量13.5%減の4万5,622トン・生産額14.6%減230億の9,100万円と減少した。一方、施設や病院の給食等に利用される業務用は生産量14.5%増の2万8,321トン・生産額8.9%増の276億2,800万円と伸長した。

〈冷食日報2023年6月7日付〉

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昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
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