ジョイフル・ピエトロなど外食企業、冷凍食品の展開を継続、店舗以外での収益確保に寄与

量販店・外食企業の冷凍食品コーナー
量販店・外食企業の冷凍食品コーナー

外食企業は新たな収益源を確保すべく、冷凍食品など外販の強化に取り組んでいる。EC だけでなく、スーパーでの展開も強めているほか、冷凍自販機を活用した展開も進めている。

九州や西日本を中心にファミリーレストランを654店舗展開しているジョイフルは、冷凍食品のTVCM放映を、8月4日から開始した。伸長している冷凍食品を、店舗の少ない関東や近畿でも認知をより高めるべく取り組む。

ジョイフルは2016年3月からは冷凍食品の販売を開始し、2023年には新ブランド「おうちde ジョイフル」全9品の展開を始めるなど着実に提案を広げている。ファミリーレストランで提供しているメニューと同じ食材を使用した商品を販売しており、2022年の売上は17年比で約5倍に伸長した。

イタリアンレストランを展開するピエトロも、冷凍食品の販売を強めている企業の一つ。量販店とECで冷凍食品の販売を着実に広げており、2023年4~6月の売上は二桁増となった。配荷店も700店舗となっており、2024年3月期には1000店規模まで広げることを目指している。

冷凍食品全体の現在の売上は、スーパーで約3分の2を占めている。ECでは、店舗で販売していない商品を実験的に販売するほか、ギフトに最適な商品なども扱っており、着実に伸長しているという。

9月1日には新商品「洋麺屋ピエトロ お肉好きのあなたのためのボロネーゼ」の発売や、既存品5品のリニューアルを予定している。

執行役員の岡野順子商品事業本部副本部長兼冷食ユニットマネージャーは「店舗でも順調で、EC 販売も伸びている。今後は自営の店舗でも冷凍ショーケースを設置しての販売も視野に入れている」と話す。

小売店でも付加価値商品の提案として、飲食店の冷凍食品などの取り扱いを増やす傾向にある。販売も順調に推移しているようだ。

イオンは、「@FROZEN(アット・フローズン)」という、冷凍食品の扱いを強化した業態の展開を進めるという。飲食店の冷凍食品も多数扱っており、オリジナル商品も販売している。年度内に5店舗の出店を計画しており、8月10日には埼玉県内に過去最多の2,000品目以上を展開する売場をオープンした。

松屋銀座は自社で運営する冷凍食品売場「ギンザフローズングルメ」を2022年8月にオープンした。焼く55ブランドもの飲食店が参加しており、売上は計画を50%ほど上回る5200万円に達した。2024年2月までに売上高1億円を目指しており、新商品の投入や卸売りの展開などを進める。

大丸松坂屋百貨店は、冷凍グルメ宅配のサブスクリプション(定期購入)型のサービス「ラクリッチ」を2023年5月に開始した。「RISTORANTEHONDA」や「西洋銀座」など25ブランドが参加しており、サービス3年目に売上50億円以上を目指す。将来的には海外展開なども視野に入れている。

他にも、冷凍自販機を活用した展開も引き続き見られる。2023年6月には、不二家が冷凍自販機の設置を新たに始めた。「不二家洋菓子店」や「不二家レストラン」の一部店舗に置き、店舗の営業時間外でも商品を購入できるようにする。10店舗でまずは展開し、動向やニーズなどを検証し、今後の商品拡充や設置箇所の拡大なども視野に入れている。

物価高騰などの影響で内食需要が再び高まりつつあるという声もある中で、飲食店の冷凍食品などは、好きな時に気軽に美味しい食事を食べたい、というニーズにマッチしており、今後も需要の拡大が見込まれる。

また、一部の飲食企業では日本食の輸出を進める中で、冷凍技術を活用して商品開発を進めているところもある。今後も外食企業が冷凍食品などの展開をより強めるかもしれない。

量販店・外食企業の冷凍食品コーナー
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〈冷食日報2023年8月21日付〉

媒体情報

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近年の冷凍食品をめぐる情勢は、共働き世帯の増加や家族構成の変化、また飲食店や量販店の惣菜売場の多様化によって需要が増加しています。一方で、家庭用冷凍食品の大幅値引セールの常態化はもとより、原料の安定的調達や商品の安全管理、環境問題への対応など課題は少なくありません。冷食日報ではこうした業界をめぐるメーカー、卸、そして量販店、外食・中食といった冷凍食品ユーザーの毎日の動きを分かりやすくお伝えします。

創刊:
昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
体裁:
A4判 7~11ページ
主な読者:
冷凍食品メーカー、量販店、卸、外食・中食、輸入商社、物流会社、業界団体など
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