オイシックス・ラ・大地、代替肉などの動向発表会を実施、サステナブルミートの市場は拡大も、肉全体では極小の市場

オイシックス・ラ・大地「サステナブルミート最新動向発表会」
オイシックス・ラ・大地「サステナブルミート最新動向発表会」

オイシックス・ラ・大地(以下、オイシックス)は11月28日、「サステナブルミート最新動向発表会」を都内で行った。

2021年のプラントベース食品の売上は世界で伸長傾向にあるものの、代替肉を含めた食肉の市場は200兆円規模で、市場としては圧倒的に小さい。更なる普及には、環境負荷の低減などを打ち出すだけでなく、更なる味の追求が重要になるという。

途上国での肉食需要が増え、世界的な食肉の消費量は増加している。一方、牛のゲップやたい肥化処理により畜産業は温室効果ガスの排出源なっており、対応が必要な状況だ。また、穀物生産よりもエネルギー効率が悪いため、将来的な増産は難しいとも言われている。魚資源も減少傾向にあり、今後は代替肉の消費量は高まるとの見方が強い。既存の畜産は減少し、その分プラントベース肉や培養肉が増えていくとの予想もあり、2040年には既存の畜産が下回るとの分析もある。

オイシックスの子会社であるFuture FoodFundの村田靖雄ファンドマネージャーによると、世界的にプラントベース食品(所謂畜産品を、植物原料で作り替えた代替食品)の消費が増加しており、米国では2021年に74億ドル(当時のレートで1兆円程度)に達したという。

しかし、一般消費者からは「美味しくない」「添加物が多い」「栄養成分が少なく、塩分や脂質が多い」などの声があり、当初の予測よりも普及は進んでいないようだ。

現在の代替肉を大まかに分けると「プラントベース」「精密発酵」「培養細胞」の3種。「プラントベース」は、植物由来のたんぱく質で、既存の畜産品・水産品に替わる食品を開発している。

「精密発酵」は酵母に遺伝子を組み込むことで、目的とするたんぱく質を生産する技術。遺伝子組み換え技術を使用している。

「培養細胞」は細胞培養技術を応用し、動物細胞を増殖させることでたんぱく質を生産する技術。現在、シンガポールのみで認可されているが、アメリカでも法制整が進んでいるようだ。村田氏は「人口が増え途上国でも肉需要は高まっており、生産のための森林伐採なども進んでいる。既存の畜産をどう変えるかが今後重要になるのでは」と呼び掛けた。

〈ネクストミーツ佐々木代表「代替肉が美味しいということを伝えたい」〉

発表会には、オイシックスに加えて、大豆ミートを展開するネクストミーツ(東京都新宿区)、循環型の畜産業を営むGOOD GOOD(北海道勇払郡)、養豚のDX化を目指すEco-Pork(東京都千代田区)、細胞培養肉の研究開発などを手掛けるインテグリカルチャー(東京都文京区)がそれぞれ参加した。

その中で、オイシックスは大豆を主原料としたプラントミート「P肉」を紹介した。ミールキットや冷凍惣菜でP肉使用の商品を展開しており、累計で6万7,000食を売り上げた。プラントベースミート担当の尾花美咲氏は「健康を気にする方だけでなく、美味しそうと思って購入する方も多い」と話す。

今後の普及については「やはりまだ食感などは精肉と比べると柔らかいので、そこの違和感を減らしたい。また、有名シェフとのコラボレーションや、キャンペーンなどで手に取ってもらえるような機会も設けたい」と語った。ネクストミーツでは、大豆などを原料にした「ネクストミーツ」という代替肉を展開している。これまではスーパーなどに提案を進めていたが、近年では飲食店向けの提案を強めている。

佐々木英之代表取締役は「植物性の商品はヘルシーというイメージでも需要はある。ただ、一度でも美味しくないと思われてしまうとやはり提案は難しい」と話す。今後は「飲食店向けに原料を供給し、まずは代替肉が美味しいということを広く伝えたい」と語った。

〈冷食日報2023年11月30日付〉

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